『跪いて愛を誓え』/藤森ちひろ

跪いて愛を誓え (プラチナ文庫)

跪いて愛を誓え (プラチナ文庫)

受×攻モノ。経済やくざで女王様な受が、探偵事務所経営の人のよい攻をぐいぐい攻めています。非常ーーーに既視感のあるカップリングですが、受が攻を支配するパターンは乙女の好む裏王道なので、いたしかたないような気もします。みんな、探偵×やくざのカップリング、大好きですよね。やくざ受、そんなにいいか?? といいつつ某柴田●しき先生の某カップリングに一時期だだハマりしていた私ですが。


藤森ちひろ先生は、こちらがびっくりするくらい文体に特徴のない方ですね。私はBL作家の妙に気負ったようなぎこちない文体が苦手なのですが、この方ほどあっさり個性のない文章だと、それはそれで引っかかるところがなく物足りないと感じてしまいました。わがままですみません。藤森先生は、BL作家のスタンダードという感じ。あと濡れ場が少し単調な印象(「花茎」だの「花弁」だの。昔読んだ飛沢杏先生に勝るとも劣らぬ勢いで濡れ場に花が咲きまくっていた)。エロそうでエロくないもどかしさを逆に楽しもうと頑張りましたが、無理でした。やっぱり受と攻の関係性に萌えてないと、エロいはずの濡れ場も全然エロく感じられないんですな。しみじみ思いました。
ただ、稲荷家房之介先生の挿絵は丁寧で工夫があって素晴らしかったです。攻の顔の造作が若干バタくさいようにも思いますが、私はさほど気になりませんでした。


本来なら★3つが無難な内容でしたが、字の文に「ら抜き」言葉があったので★2つ。本当は★1つにしたいくらい「ら抜き」は嫌なのですが、挿絵が良かったのでそれは避けました。