『脱がない男』下巻/木原音瀬

ポールさんから無理矢理借りて読みました。「Don't worry mama」シリーズを読んで思うんですけど、このシリーズ、木原先生にしては何時になくラブラブ(死語)じゃないですか? ラブラブ(死語)のアマアマ(BL語)じゃないですか? ところで「アマアマ」という言葉はBL界、つーかやおい界では日常的に用いられる言葉ではありますが(例として、作品への注釈に「※甘々です」などと入る)、それ以外ではとんと聞いたためしがないように思います。これってBL用語なのでしょうか? 長年の謎です。


気を取り直して作品の感想。まずキャラについて。
藤原課長、綺麗ッ! 
春抱きの香藤ばりに力いっぱいそう叫びたくなった下巻でした。おかしいなァ、これは木原音瀬の本なのに。キャラ萌えとは程遠い作家のはずなのに…。いや、でも本当。藤原課長は可愛い人ですね。ツンデレじゃないですか。野球のグローブをこっそり買ってわざと見つかるように置いておくところなんて非常に可愛いです。あと攻が告白の一大決心して部屋を訪れたとき、「さっきの彼女とオレ、どっちが大切?」的なことを聞かれて意外とあっさり「君(攻のこと)」と認めてしまうところなんて、なんか天然? ていうか素敵じゃないですか。
攻も攻で、ばか正直で単純なところに好感が持てます。特に謝罪がいつでも全力なところが。課長に対するメス発言は「シドイッ!」と思いましたけど、そういう軽率なところも含めて憎めないヤツなんでしょうね、課長にとっては。

上巻の感想にも書きましたけど、この攻のとった行動をありと判断するかしないかは、読み手によって意見がわかれるところだろうなと思います。どうなんでしょうね。確かに微妙なところといえばそのとおりですが…。BLの世界って、良識のある攻に出会えることのほうが少ない(最近そうでもないけど)気もするんで、結果的に課長のコンプレックスを克服するきっかけになったこの攻については、私は「ナシ」と判断することができませんでした。

それにしても東山さんはBLの攻にしておくにはもったいないほどの、普通のいい人ですね。