『唇(くち)はワザワイのもと』/遠野春日

いつもどことなーくカタい印象の遠野先生なのに、本作はなかなかどうしてポップなノリでござった。BLを読んで手っ取り早く幸せ気分を味わいたい人にはおすすめかもしんない。近々これの続編が出るらしいし、世間的にもそれなりに好評の1冊だったみたいです。個人的には、受の攻に対する勘違いぶりとか、受に手を出してくる後輩くんの暴走ぶりとか、何もかもがBL的ステレオタイプ過ぎてちょっと物足りなかった。攻の元恋人の女性が手紙を出してきて、それを受が偶然発見してしまい、「やっぱりヨリを戻したんだ…」と勘違いして別れ話に持ち込んで、結局攻は攻で身体だけの関係から踏み出す勇気がなくて一旦別れるけど再会して盛り上がる……って、もうBLで何度その手の思い違い勘違いを読んだか知れません。あと受の後輩くんが密かに受のこと狙ってて、でも受は天然美人の自覚なし子ちゃんで襲われる段になって初めて相手の獣性に気が付いてびっくり仰天……って一体何度その展開のBLを読んだか知れません。
が、し・か・し!しかしながら!挿絵の山田ユギが、、、まさに全盛期。これ、全盛期の絵ですうううううう!!!攻が格好よすぎて悶絶。ハァハァ。というわけでハァハァしながら★1コ増量。

校正が甘いことで有名なムービックですが、今回は地の文に「お」をつけてる箇所があって、バツ1コだ!(by.一限目はやる気の民法)情熱シリーズ以外、何を読んでも消化不良感の残る遠野先生ですが、個人的にはこの方の気負いのない素直な文章が好きです。あとがきも、読むと妙にほっとします。