『交渉人は黙らない』/榎田尤利

交渉人は黙らない (SHYノベルス)

交渉人は黙らない (SHYノベルス)

榎田尤利×奈良千春の初タッグですよ奥さん。なんとなくやおい女を熱い気持ちにさせる組み合わせだと思いませんか? 私だけ?
今度の新刊は奈良先生がイラスト担当と聞いて、てっきりヤクザ×交渉人の緊迫感あふるる命がけの限界ギリギリフルスロットルラブが描かれるに違いないと勝手に決め付けていたのですが、そんなことは全然ありませんでした。いつもの榎田先生らしい軽妙な調子で終始していました。

いやー、このヤクザの攻がさー、年下攻で敬語なので結構ぐっときちゃったりしたんですけど、全体的には、うーんどうだろ? 萌えもお仕事も中途半端に終わってしまった感がなくもない。受が交渉人になった理由は、まぁ、コミュニケーション不足(人と人との話し合い)から哀し過ぎる経験をしたからということで納得できるのだけど、その前の職業で挫折した理由が不明瞭だったのと、受の暗い過去と現在の饒舌さのギャップに説得力がなかった点に違和感があったかもしれぬ。
あと、攻がヤクザである必然性が感じられなかったんですよね。
でもこの攻のキャラクターは結構、嫌いじゃない、アタイ。誰かに似てるーと思ったら、門地かおり生徒会長に忠告』の知賀くんでした。なんとなく口調が似てませんか? とりあえず「二人称『あんた』のナイス年下敬語攻属性」のある方は入手して損のない1冊なのではないかと思いました。敬語の崩れる瞬間萌え。作中に論理クイズがいくつか出てくるのですが、奥付に「参考文献」が掲載されてました。BLで参考文献が付されている本を見たのは、『エス』とこの本しか知りません。大洋図書は誤植や印刷ミスがすごく多いイメージですが、ちょっとは頑張ってるのかも…? まぁこれは出版社が偉いんじゃなくて、作家の意識の問題か。

ネゴシエーターといえば、某午後(要英訳)で連載しているYU-GOに萌え萌えしている時期がありました。世界を股にかけてネゴシーエーションを成功させてゆく一人の日本人“ネゴ屋”が主人公なのですが、かなっらず!毎回手ひどい拷問を受けるのですよ。で、漫画としていちばん気合が入ってるのも拷問シーンの描写なんだよね(笑)。絶対一回くらい性的拷問も受けたはず。それを想像してハァハァしてるお姉さんも少なくないでしょう。相棒らしきメカに強い男もいて、コイツがなかなか好男子なのですが、ぜんっぜんカッコイイとこ見せてくんないのがタマにキズ。彼がもっとかっこうよくYU-GOをサポートしてくれるナイスガイだったら、一ジャンルとして有明の片隅に存在していてもおかしくありません。以上、余談でした。