『今夜、雲の上のキッチンで』/ひちわゆか

面白かった。この人の小説って、ところどころくすっと笑えますよね。私はあまり小説では笑わない性質なのだけれど、この人にはくすりとさせられしまう。例えば、ふだんめちゃめちゃ上等なスーツを着て格好つけている攻が、実はファッションセンスに自信がなくていつもはスタイリストを雇ってて休日はジャージだと自己申告するシーンとか。あと受が攻のキャラクターを「家に帰ったらまずバスローブに着替える」と超確信を持って予測しているところとか。なんかおかしいんですよね。波長が合うのかもしれないなー。受の友人の女性キャラも、主張が強過ぎずキャラが立っててとてもよかったです。こういう女性キャラは、崎谷はるひあたりが書くとクドくて疲れる女になりそう。

特に萌えはしなかったけれど、攻のキャラが面白くてするすると読んでしまった。紺野けい子さんの挿絵もなかなかよかった。特に受の裸の後姿。


気になったのは挿絵の大きなミステイク。攻の左目の下に皺があるはずなのに、挿絵では右目の下に皺が描かれていた。受たんから見て左目ってことなの? あとは誤植もちらほら。