『絶対束縛』『絶対服従』/水戸泉

絶対服従 (リンクスロマンス)

絶対服従 (リンクスロマンス)

絶対束縛 (リンクスロマンス)

絶対束縛 (リンクスロマンス)

水戸泉の濡れ場は、男性向け美少女モノのノリにちかい気がする。現に、私が書店でバイトしていたときも、電撃文庫と一緒にさりげなく水戸泉の新刊を買っていくサラリーマンがいたもんだ(ラピスは特定の男性層の需要もそれなりにあるような気がする)。ラピス文庫の『薔薇の名前』のあとがきで、自分がフランス書院から本を出せる事実にワクワクしきっていたことから察するに、この人、濡れ場を書くのがお好きなんだと思う。しかも多分男性向けの官能小説でスケベのいろはを学んでいる人なんだと思う。だから安易に穴を増やしたり、触手を出しちゃったり、近親相姦とか書いてしまうのでは。BLにも近親相姦はあるんだけれど、大抵義理だったりしますよね? でも水戸泉は、ふつーに兄弟で交わっちゃう。完璧な弟×不出来な兄、というCPがお得意の模様。このパターン、すでに何度か見ている気がするけれど、近親相姦の強姦セックスを書いてもあまり悲壮感がないところも、まさに男性向けなノリ。
本作は久々にショタコンでも近親相姦でも穴2つでもない作品で、結構新鮮だった。ただ、こんな政治家がいる国があったら滅んでしまえ、と思いますが(笑)。まぁ、BLなんでね…。受の心理描写が成人男性のそれとしてふさわしいのかどうか、疑問だった。水戸泉×リンクスロマンス、合っているんだか合っていないんだか。いや、多分合っていないんだろう。ただ、挿絵の受が、結構やわらかい感じに描かれていてよい。水戸泉はいっそ香坂透さんと組ませてみてはいかがだろう。それともあの方は篠崎一夜さんとしか組まないのだろうか。
相変わらず、水戸泉はあとがきが最高。挿絵もまともですし、エロを楽しみたい人にはおすすめの二冊です。