商業作家と同人

基本的に、ボーイズラブ関係の小説家、漫画家にはパロ同人から出てきた人が少なくないですよね。その人の作家性について、出身ジャンルから汲み取れるものは、ものすごく多いと思う。だから、つい作品の感想を書くときにでも同人活動について触れたくなってしまう私は悪い女です。だって、ご本人は隠しておきたいことかも知れないし。基本的に版権パロはビミョーな世界ですよね。ナマモノだけでなく、二次元においてもそれは同じ。だから基本的にはあんまり触れてはいけないもののような気がするんです。だけれど、アンジェリークのような、ハナから「女性向け」と銘打っているものであれば、そのかぎりではない。ような気がしてしまう。

昔の話なので記憶が曖昧だが、その昔、TINAMIXでボーイズラブが取り上げられていたことがあったと思う。その中である同人ジャンル内の双璧として、よしながふみ語シスコについて比較っぽく語られていた(気がする)。こんなふうに、同人作品(つーかカップリング)を軸にして語られているのって、作家の萌えに対する考え方が浮き彫りになって、けっこう興味深い。
あ、多分ココ。このURLですな。
http://www.tinami.com/x/girlscomic/yoshinaga-fumi/page3.html

私は「むむ!このBL作家、素敵!」と思ったら、まずその人の過去の同人ジャンルを洗います。同人的バックグラウンドが無い人も多いんだけれど、やってる人も多いんだな。自作品のパロディ的内容で本を作っている人も少なくなくて、そういう場合はイベントの参加履歴を調べます。あの『イベントの空気感』を知っているだけで、「萌え」に対する理解度が違う!と思ってしまうのは私だけ(笑)?
最近感動したのは、鷺沼やすな先生の同人っぷり。サイトの小説群の充実ぶりもスゴイが、お友だちの漫画家・蓮川愛先生のお誕生日にやおい小説をプレゼントしていたりするあたり、『ホンモノ』な空気がバシバシ伝わってくる。地下日記の萌えっぷりも見事。でも作風はJune的、という不思議な作家さん。同人小説もクオリティが高い。特にアンジェリークのオス×セイ小説は見事。ついでに言うと、マイ蓮川愛ベスト漫画は鷺沼さんとの合同誌におさめられていたアンジェリークやおい漫画かも。この人、こういう非日常ちっくな衣装を描くのがとっても巧いのです。それで台詞や展開がベタベタだから、アンジェの世界に妙にハマるの。鷺沼×蓮川合同誌はとにかくクオリティ高くてよかったです。
あと、鷺沼さんと言えば、異様に交友関係が広い点も見逃せませんね。なぜか『お金がないっ』のコンビとも合同誌を出していたりするあたり、謎。最近はやまかみ先生と本をよく出されていますよね? なんなんじゃろ。蓮川先生と久能先生が仲良しなのも、昔鷺沼さん企画のC翼同人で一緒したことがあったからなのかしらん…。まぁ、『月の砂漠シリーズ』で意気投合しちゃったんでしょうけれども。

最近は新人の漫画家で、もろ「ジャンプ同人出身です!」って感じの人も減りましたね。私、画面に同人臭のたちこめてる漫画ってちょっとイヤ〜なんです。あと、同人出身の人の漫画って、萌えのパッチワークになってしまいがちなんですよね。描きたいところだけ描いて満足。それじゃ駄目だと思うわけです。