『エンドレス・ゲーム』/月村奎

エンドレス・ゲーム (ディアプラス文庫)

エンドレス・ゲーム (ディアプラス文庫)

エンドレス・ゲーム (花丸ノベルズ)

エンドレス・ゲーム (花丸ノベルズ)

以下、櫻井先生のお話の感想ばっかになってます。もちろん表題作もすごく好きな作品なのですけど。

「弟って八歳で死んじゃったって言いましたよね。で、先生が今二十四歳だから、八足す二十四割る二で……先生の憑依年齢は十六歳だ」

十六歳の年下攻が口にしたこの台詞に、私はしみじみと感動してしまった。なんて頭のいいものの考え方をする男の子なんだろう。つーかここで「憑依年齢」という言葉が出てくる月村てんてーの感動した。私の理想の年下攻は「受と二歳差」なので、正直このお話を読み始めたとき「六歳差はちょっと痛いな」と思っていたけれど、こんな素敵な高校生(話の途中で中退してしまうけれど)ならノープロブレムだ。

月村先生のお話に出てくる受は、家庭の事情を原因に心のどこかにぽっかりと穴があいているキャラクターが多い。今回はふたりの大切な人の「死」を乗り越える受を描いてるだけあって、展開が少し重かった。私は死とか病気だとかが(安易に)出てくるストーリーが苦手だったりするんだけど、月村てんてーの作品は毎回、受の重荷を嫌味なくかろやかにさらっていってくれる攻が出てくるので安心して読める。展開がワンパターンになりがちなきらいはありますが。

月村奎にはそのうちシャイノベルズで新作を出してほしい(クラフトでエッセイの連載なさってるんですよね?)。ディアプラスより、少し対象年齢を上げて。といっても別に性描写を増やしてくれというのではなくて、学生の出てこない話を書いてみてほしいだけだ。それにしても金ひかるの挿絵は合わない…。この人の挿絵で萌えたためしがない。昔の絵柄は嫌いじゃないんだけれど。梧桐あさVer.がおすすめです。あ、でもこれだと櫻井先生のお話は読めない。だめですね。