『きみが恋に堕ちる』/高永ひなこ

きみが恋に堕ちる (あすかコミックCLーDX)

きみが恋に堕ちる (あすかコミックCLーDX)

同じジャンルで10年同人誌を出し続けるほど一途なBL漫画家・高永ひなこ。いささか少女漫画的過ぎる傾向はあるとはいえ、やおい的スキルが高いため信頼しているBL漫画家のうちの一人。が、本作はイマイチであった。イマイチどころかイマニ、イマサンくらいの勢いであった。まず(私の思う)年下攻のよさが何ひとつとして出ていない。いくら兄貴に恋していた相手だからって、いきなり襲っていい理由にはならんだろう。弓道には精神的なスポーツというイメージがあるだけに、このあたりの攻男の性急さが青臭すぎて頂けない。受男も受男で、弓道を辞めてまで想いを断ち切った兄貴への気持ちがあっさりグラつきすぎ。もうちょいと攻男・司のよさをじっくり見極めてから惚れてほしかった。そのほうが、ナンボか新しい男に対して誠実だと思うんだが。
思うに、この展開で全1巻というのはいささか無理があるんじゃないだろうか。全2巻にして、1巻の終わりにようやっと兄貴・礼一郎を登場させるくらいのほうが、バランスが良かった気がする。後半の攻男・司の勘違いぶりにはいささか呆気にとられた。解決したらセックスで盛り上がって終わり。なんか腑に落ちないものを感じてしまう。


だけれど、カバーのデザインがけっこう、雰囲気のある感じでスキ。タイトル部分のフォントがいいんですよね。明朝がキまってて。主役カポー二人の手はデカ過ぎだけど。

先日CIELで立ち読みした礼一郎編が思いのほか面白そうだったので、そっちに期待です!!だってこの攻かっこいーもん。