『hand which』/鈴木ツタ

Hand which (バンブー・コミックス 麗人セレクション)

Hand which (バンブー・コミックス 麗人セレクション)

この日記には、「鈴木ツタ+同人」のキーワードで定期的に来訪者がある。おそらく商業で読んで気に入っちゃって「同人もやってるのかなー気になるから探してみよー」ってなノリの人が流れてきているのだろう。でも絵柄に同人臭はあまりないですよね。デビュー単行本だそうですが、センスよさげな表紙に惹かれて購入しました。こういうカバー絵が好きなんですよ。男同士の、何でもないような絡みをね、ちゃんと絵になるように描いてくれるBL漫画家。それだけを求めて、日々生きてる。もちろん裸の絡みを描くのが上手い人も素晴らしいけどね。
なぜいまさら感想をあげるかというと、友だちに貸していたのが、つい先日返ってきたから。
表題作のカップルが一番好き。ただ、受の眉毛が下がり気味なのと釣り目なのだけがちょっぴり気にくわない。が、お話が可愛いのでもはや贅沢は言うまい。お惣菜屋さんの話も好きです。榎田尤利の藤井沢商店街シリーズにありそうな、かわいらしいカップルのお話。榎田先生の同シリーズ次回作では『ギャルソン〜』に出てきた「もうこんなにしているんですか?(クスクス)」ってな変態系の攻ではなくて、この竹馬きゅんのようなおおらか系の攻を描いていただきたい。勝手かつ具体的過ぎる御願いで申し訳ないのだが、この間友だちに言われた「エダっちの攻はガサツ系に限る」という台詞にものすごい勢いで納得してしまったワタクシとしては、切実な希望である。

「半径10メートルの引力」の受の行動に、よしながふみフケ専さんのお話を思い出した(「ナウシカの話をしよう」のストーリー。タイトルが思い出せない)。今後も期待の漫画家さん。来月リブレから新刊が出るらしいが、これがファンタジーなのよねー。ファンタジー苦手なんだよな〜。微妙なところだけど、きっと買ってしまう。だがこの漫画家さんはファンタジーよりも日常の何気ないカップルのいちゃいちゃとカワイイお話を描いたほうが、身のため世のためBLのためのような気がする。