『ラブクエ』/星野リリィ

ラブクエ (花音コミックス)

ラブクエ (花音コミックス)

ボーイズラブ漫画読みとしてのステップアップをはかるため、敢えてチャレンジングしてみた一冊。
星野リリィ先生といえば、大変人気の漫画家さんである。アンソロ・雑誌の表紙を飾り、イラスト集を出し、単行本をコンスタントに刊行。平積みにされている書店も多い。人気の作家さんである。だがしかし私はどーも星野先生のカラーイラストの塗りが苦手で、これまで何となく購入に踏み切れなかった。こう、鼻がツンと上向きで、つややかな頬にそばかすが浮いている感じがアメリカのイラストっぽいような、それでいてどこかプラスチックドールめいた雰囲気もあって、何かなじめないものを感じていたのである。

だがしかし、モノクロで見てみると意外に読みやすい。多少画面が白っぽいのは気になるが、絵も丁寧だし別段気になるほどのものでもない。なにより、絵を描くことが好きな気持ちの伝わってくる作画だと思う。絵に関しては、好みかどうかはともかくとして、非常に好感が持てた。

肝心の話はというと、男性向けエロゲーのようなストーリーでちょっと面食らってしまった。魔術師に選ばれし者同士(この場合はもちろん男同士)が体液交換すると術者の魔力が高まる、というエロ系ファンタジーによくある設定である。まぁこういうベタな設定は嫌いではないので、それなりに楽しめた。RPGチック、ファンタジーチックなノリだから、『ドラクエ』をもじって「ラブクエ」なのね…。なぜか私はこの本のタイトルを見かけるたび語シスコ先生の短編、『ラブでも喰らえ』の略語であるような気がしてしまっていたのだが、やはり違ったらしい。当たり前だけど。リリィ先生が普段どんな話を書かれるのかはわからないけれど、今回のお話はこれといって特徴のないお話なのではないかと思う。リリィ先生がツボにはまるのかどうかは、やはり絵が好みかどうかに激しく左右される気がした。攻はかっこいーと思うんだけど、受の顔の構造が女子と変わらないのにはやはり抵抗感がある。あとコスチュームのデザインが…。アマゾンのレビューを見ていたんだけど、これは「ビキニ甲冑」というらしい。男性向エロによくある、豊満系の美女がキワドイ衣装を着ているのは大好物な小生なのだが、リリィ先生の描くアバラの浮き出た女性が露出度の高い衣装を着ている様は、欠食児童を見ているようで萌えるより心配がさきにたってしまう。ちゃんとごはん食べてるのかなぁ。

とことんまでガリガリ属性のない小生なのであった。