『愛しすぎる情熱』/英田サキ

愛しすぎる情熱 (プラチナ文庫)

愛しすぎる情熱 (プラチナ文庫)

目にもまぶしいキラキラカバーが特徴のプラチナ文庫。積読状態だったホモ小説ストックのなかから、なんとなくセレクトしてみた。といっても前に一度、はじめの30ページくらい読みかけたことがあったんだけど……。
作者ご自身がおっしゃっているように、受たんがオヤジであること以外は、ボーイズラブ的にしごくまっとうな展開をする作品でした。文章がしっかりしていて、安定感があるのがいいですな。私、この方の文章に出てくる専門用語の解説がすきなの。端的でわかりやすくて。この作品には『エス』ほどは出てこなかったけれど。
カップリングですが、なかなか正しかったですよ。受たんは元スゴ腕証券アナリストで、妻を亡くしてしまったつらい経験を機に田舎暮らしを決意し、とある洋館を買い上げる。そこでひょんなことから8歳年下の天文学を愛する真面目でロマンチストなイケメン君に出会い、恋に落ちるわけですな〜〜〜〜〜。うふふふ。受たんは歳の割りに、その昔年俸にゼロが8コ続いていたわりに(つまり億単位稼ぐサラリーマンだった)抜けたところのある人当たりの良い36歳の美青年で、そんな受たんが気になって気になってしょーがない常識人タイプの攻様が振り回されつつ、お互い歩み寄っていく、定番な感じのカップリングです。特にツボな設定でもカップリングでもないのですが、スタンダードなBL的お決まり展開が安心できてよかった。レーベルがプラチナなだけあって濡れ場もきっちり挿入されるので、その手のシーンがないとホモ小説読んだ気がしない貪欲なそこのあなたにもおすすめ。と言いつつも、私自身は英田先生の描く濡れ場に不思議なほど色気、エロ気を感じないのだが。あと、受たんの口調が「〜〜なのかい?」「〜〜なんだい?」って感じの出木杉くん口調なので、若干萌えづらかったのが不満っちゃぁ不満。
でも文章が巧いからいいの。やっぱりさ、私はさ、純粋に「男が男を好きになること」が嬉しくて楽しくてしょうがないんだよね。理屈でなく嬉しいんです。もー嬉しくて嬉しくてしょーーーーがないんです。おさようとしても顔がニヤけてしまうのです。癒されるのです。やっぱホモはいいなぁ……。気楽に楽しめるホモ小説でよかった。というわけで★は3つ。