『吸殻の寝床』/神楽坂はん子

★2つか3つかで死ぬほど悩んだ。2つというほどヒドくもないし、3つというほどモエもしない……現に余のやおい胃袋は満たされていない……のだがカップリングは正しいしそこそこ楽しかった…ような気もしないでもない……(以下エンドレス)。というわけで「限りなく★2つに近い★3つ」(村上龍風)というわけでひとつよろしく。
表題作の「吸殻の寝床」を含め、合計7つのお話で構成された短編集です。表紙のイメージと違ってびっくりしたのだが、表題作と「Here and There」以外、なんとシリアス。「えっ!この絵でシリアス?!」とびっくりしたのは私だけではあるまいっ……?!だってね、神楽坂先生の画風って割合、コメディタッチが合うんですよ。軽妙さがあるというのかな。それでね、ちょっと絵が不安定なんですよ。まだ自分なりの絵柄を模索してらっしゃる感じなのか、とくに「夏の果て」はこなみ詔子さん風というか、すっきりした描線でしたね。転じてラストにおさめられている「残雪」では『エマ』ちっくな鉛筆画風、というんでしょうか。そんなタッチも見られたりして…。でも寿たらこ先生のようなカメレオン漫画家とまでは行かない感じなんですよね。まぁそんな感じで、とにかく基本の絵柄がポップなだけに、シリアスが多くて驚きました。
また、ボーイズラブのシリアスって難しいんですよね。ボーイズラブのお約束として、シリアスには必ず濃密なエロがからむのですけど、先ほども申し上げたようにこの方の絵は割合ポップなので、あんまりイラストに淫靡な雰囲気がないんですよね。むしろ健康的というか。
そのあたりの違和感が勝ってしまって、結局最後までなんとなく萌え切れなかったのですが、全体的にカップリングは正しい。一番好きなのは「冷たい繭」と「残雪」の連作かな(やっぱり短編じゃものたりぬわたし)。このカップリング逆転は正しい!!絶対こっちが受だと思ったっ……!絶対にっ……!