『あしながおじさん達の行方』全2巻/今市子

あしながおじさん達の行方 (Vol.1) (花音コミックス)

あしながおじさん達の行方 (Vol.1) (花音コミックス)

あしながおじさん達の行方 (Vol.2) (花音コミックス)

あしながおじさん達の行方 (Vol.2) (花音コミックス)

このタイトル、絶妙だなあ。何がどう絶妙なのかうまく言えないんだけど、タイトルもストーリーも絶妙。『ウブ』の感想を書きたかったんだけど、今更なぜか今市子先生。随分前に読んだものの内容をさっぱり忘れていて、ついつい再読しちゃったら感想書きたくなっちゃったんだもん〜。

今先生の作品は1ページあたりの情報量が多い上に画面が妙に乾いていて、読んでいると喉がカラカラに渇いている時に食パンを噛んでいるようなしんどさを覚えるのだが、先が気になるからずんずん読んでしまって、読み終わる頃には精神的にすっかり疲弊しきってしまう。中でもこの作品は一番疲れる気がする。入り組んだ設定も疲れる理由の一つだろうけど、それ以上にこの作品は妙にもどかしくて疲れるのである。どの登場人物も秘密を持っていて、けれどもその秘密が何なのかずっと分からないのももどかしいし、ボタンをかけ違ってしまったように色々な人の思いがすれ違ってしまうのも、もどかしくて切なくて疲れる。

「もどかしい」って一番苦手な感情かもしれない。もどかしい作品は気になるからついつい引き込まれて読むんだけど、一つでも何かがもどかしいまま終わるとどうしようもない気分に陥って気が滅入ってしまう。この作品の場合、もどかしい秘密も関係は大体ほぐれてハッピーエンドになるんだけど、夏海と恭平の関係だけがなんとも切なくてね……もっと他の道があったんじゃ、と思ってしまってね……。ハッピーエンドなのにどこか渋味のある終わり方がこの作品の魅力なんでしょうけど、オイドンは切なくてたまらんのです。はあ、切ない。切ない恋だぜ。まあ、みんな幸せなんだしいいか。夏海が幸せなら私はなんでもいいよ。いいってことにしよう。春日とヤスヒロは普通にいいですね。この二人、なんか萌える。

疲れるけど面白かった。いや、面白いから疲れるのかしら?とにかく面白疲れました。また内容をすっかり忘れた頃に再読しようと思います。