『恋愛証明書』/崎谷はるひ

恋愛証明書 (幻冬舎ルチル文庫)

恋愛証明書 (幻冬舎ルチル文庫)

ジョーさんのおっしゃる通り「すれ違い→話し合い→和解」というはるひ的王道のど真ん中を行く作品じゃった。和解して心が通じ合うと、体までが突如ガンガンに通じ合い始め、受たんが感度10倍の淫乱受(軽く幼児化)に豹変するというのもパターン通り。そしてめくるめく20〜30ページに突入するのだが、この作品の場合、受たんだけでなく攻まで一緒に豹変するのが新しかった。

はるひてんてーの書く攻は基本的に攻らしい性格をしている。恋愛に関しては若干不器用でも、頭の回転が早く仕事の処理能力も理解力も高いことが多い。受たんが豹変する時も最初は驚くものの、そこは攻。すぐに体制を立て直し、受たんの姿に煽られいつも以上にエロ親父化してがんばっちゃうのがセオリーである。

だがしかし、この作品の攻の春海たんはいつものはるひてんてーの攻より生きるのが不器用そうで、どこどなく受っぽい。最初、受たんに「受をやりたいか、攻をやりたいか」を聞かれちゃってる時点でどうかと思う。そんな春海たんが、心が通じ合った途端にスーパー攻様に華麗に豹変してしまうのである!ワシびっくり!あなたそんなキャラでしたっけ?焦らすわ舐めるわ言葉責めするわで、受たんが可哀相になるくらいのやりたい放題っぷりを発揮してくださった。

受たんが豹変すると「あー今まで我慢してきたんだねえ、よしよし」と子供をあやすように慰めたくなるが、春海さんの豹変っぷりには「今までお勤めご苦労様でした……これからは娑婆でのびのびと自由にやってくだせえ……!」と涙ながらに頭の一つも垂れたくなった。本当に色々我慢してずっと溜まってたんだろうね。書き下ろしでも色々溜まってたもんね。お疲れ様です&おめでとうございます。遼一くんは今後も逃げることが何度もありそうだけど、スーパー攻様パワーでがんばってくださいませ。

面白くはあったんだけど、濡れ場が多くて疲れたので星3つ。風呂場で読んでいたら倒れそうになりました。それと私も街子マドカ先生の挿絵とはるひてんてーの小説の親和性はあまり高くないと思います。荒い線の絵ってはるひてんてーにはあまり合わないよね。