『開いてるドアから失礼しますよ』/山田ユギ

開いてるドアから失礼しますよ (ビーボーイコミックス)

開いてるドアから失礼しますよ (ビーボーイコミックス)

昨日読んだホモ小説の不完全燃焼感を払拭するためつい手にとってしまった一冊。何度も読んだはずなのに、読むたび新しく燃え上がるこの作品を全力で賛美したい気持ちはいったい何だろう。私の家の近所に「いつ来てもなぜか新鮮」というキャッチフレーズの、ホモ本もろくに置いていない不届きな本屋があるのだが、その文句は山田ユギ先生にこそささげたい。いつ読んでもなぜか新鮮。何度読んでもなぜか爆萌え。それでいて読んでいると全力で「ただいま」と叫び帰還の挨拶をカマしたくなるような大きな安心感に包まれる。山田ユギ、神ががった萌え職人である。

本田三男×永井さんの明るいノリもよいけど、次男×長男のシリアス路線もよかですなぁ〜。シリアスになり過ぎないところがいいのもしれない。たとえばお風呂場の脱衣所のシーンで、次男が「あんただってちょっとは……」と言って迫るところありますよね。ボーイズラブらしい緊迫感に溢れたドキドキ萌え萌えなシーンです。この後長男が次男をぶっ飛ばすんだけど(ユギたん先生の受は性格が優等生でも、やっぱりどこかにバイオレンスのかほりがする)、そこがギャグ絵なんですよね。私ならここはギャグ絵にしないと思うんだけど、ここを敢えてギャグ絵にするユギたん先生のバランス感覚って興味深い。こういうところが山田ユギ独特でいいんだと思う。

でも、基本的にこのお話は山田ユギ作品にしてはシリアスめのお話ですよね。「禁忌を犯している意識に縛られて踏み出せなかった受たんと、そんな受たんの気持ちを尊重しようと葛藤する攻のお話」だもんね。悩みまくった兄弟には悪いけれど、このご両親の性格ならちゃんと相談すれば全然問題なさそう。「雨でも風でも大丈夫! ホモでも兄弟でも大丈夫!(義理だし!)」って感じ。なにせHONDA村だし。そもそもこの漫画のタイトルが全然シリアスじゃないし。かる〜いかるちゃんランドセル♪って感じだし。
巻末に入っている「小間使いの日記」(Guilty掲載)もいいですね。巧い。巧いよ、ユギたん。巧すぎだよユギたん。こーいう時代ものっぽいノリがごくたまに苦手になる私だけど(なんか耽美だから)、これはオッケー。むしろ萌え。キャラの話をすると、確かにこの攻と次男の容姿は似ていますね。先生ご本人も気にされているようですけれど。いや、全然問題ないっすよ! 両方かっこいいですよ! それで問題ナシですよ!! そーいやGuiltyって何コミックスなんだろう? Guiltyコミックスってあったっけ? あれ、もしかして単行本は出していないのかな? 不思議。「心交社」って何だかすてきな名前。こころがまじわる……うーんなんともやほひテイスティー。 

はぁ。読み返すたびに「お、思っていた以上に素晴らしい作品だった……(じーん)」と感動に打ち震えている気がする。何年後かにはチョモランマ並みの評価の高さになってしまうのではないかといまから心配。ああ。素晴らしい。兄弟もの好き。ついでに言っておくと攻の容姿が素晴らしく好み。「どんな外見の攻が好きなんですか?」と問われたら、迷わず「私はこういう攻が好きなんです!!(ババーン)」とこの単行本を突きつけたくなるくらい好み。かっこいい……。あと二人称「あんた」はやっぱり萌える。この間「青の軌跡」シリーズの感想でも書いたけど。年下の攻→受の呼び方が「あんた」だとめらめら燃える。というか年上の攻→受「あんた」って見たことないかも。新しい発見だ。