『恋愛バスストップ』/夏水りつ

恋愛バスストップ (花音コミックス)

恋愛バスストップ (花音コミックス)

超・安心して読めるハッピーエンド・リーマンラブもの。明朝体っぽい書き文字が佐々木倫子先生風なのだが、中身の方は別冊マーガレットのようなストレートな少女漫画路線。いい大人のリーマン同士があたふたと戸惑いながら恋愛をしている姿が可愛らしく、とにかく好感が持てる。濡れ場の表現もきつくなく、大変に読みやすい。いまどきの少女漫画の方がよっぽど過激な作風だろう。
表題作の「恋愛バスストップ」が楽しい。きっとこういう攻がポール氏の言う「自分会議の激しい攻」なのだろう。この攻は、受たんに声をかけるまでにかなり激しい自分会議を繰り広げていた。いつもスーツ姿ですれ違うふたりなので、私服姿を見られた受たんがそれを微妙に恥らうところがよかった。ジブン、恥じらいを重んじるタイプなんで。攻に恥じらいは必要ないと思うんだけど、受たんには捨てないでいてほしい。
この表題作の書き下ろしが巻末に入っていて、それが「ふたりがついに本懐を遂げる」っつー内容なんだけど、攻が受たんのこと下の名前で呼び捨てにし出してちょっぴり残念。名字にさん付け呼びが良かったのに。この書き下ろしはそこまであからさまな「サービス感」がないのでいいかな。最近出た夏水先生の別の本の感想にも書いたけど、最後に入ってる年下攻ものが一番好きかな。この展開はちょっと山田ユギっぽいぞ。というかこの無愛想な攻のキャラクターがユギたんっぽいのか。とにかく私はこの作品が一番好き。ときめく。萌える。ありがとう。そんな感じ。
とりあえず言いたいのは、表紙のイラストがイマイチすぎること。カラー口絵のイラストの方がずっといいと思う。もっとリリカル路線を強調した方が逆に売れるよ、昨今のBL界のエロ・インフレ化の流れに逆らって。