『ターニング・ポイント』/久能千明

ターニング・ポイント

ターニング・ポイント

う、うお〜〜〜面白かったぁ〜〜〜!!!! これを読んでいる間じゅう、私のボーイズラブ魂は沸騰しっぱなし、某埼玉の走り屋のごとくアドレナリンどっぱどぱでした。うお〜面白い。作品のスケールに合わせているのか、はまぞうの書影も心なしかでかい。蓮川さんの表紙&本文イラストも素晴らしいし、結構言うことナシの一冊でした。
まず、「ハードカバーでボーイズラブ小説を読んでいる」ということ自体に、軽く高揚感があるわけですよ。しかも本文二段打ち。それでこんな濃いキャラクターで濃いストーリーを展開されちゃあ、そりゃあページをめくる手もとまらないというものです。こういうベタな展開、好きなんだよね〜。王道ばんざい。話の流れからゆくと、まだこのシリーズは続きそう。エイにはもう少しがんばってもらって、一冊でも多くこのシリーズを長引かせてほしいものです。
それにしても今回攻の亜久利さんは結構いいことナシでしたね。行動原理はわかるんだけど、あんな最強の仲間がいて、どうして知恵を出し合ってなんとかしようとしなかったのか謎。それも結局譲たんを巻き込むことになってしまうから? 譲たんはともかく、由利さんに対してはあれは手ひどい裏切りなんじゃないのかな? いや、でも私はそういう攻のキャラクターは好きですけどね。亜久利さんが自己完結しようとすればするほど受の譲たんの精神力が強靭になってゆきますね。この受たん、激しいよなぁ。さすが街中で拳銃出してまで攻を呼び止めただけのことはあるよ。

まぁ、でも今回の事件を通じて、このふたりの関係は「お互いを生かしあう」、すごくポジティブな関係だと思いました。これからもお互いの生を支えあう存在として、尊重し合いながら盛り上がっていただきたいと思います。

いやーーーそれにしても、それにしてもよ。月の砂漠シリーズの影響か、亜久利さんがシュウに対して「本当に男か?」と言うあたりでは既に嫌な予感がしちゃってハラハラしてしまいました。案の定シュウは亜久利さんに惚れかけてるし……。亜久利さんも亜久利さんで突き放さない人だし……。なんか苦しかったです。こうして受たんに代わりにジェラシーを感じていると、何だか受たんの想いにシンクロしてきて、だんだんカップリングに対する想い入れが倍増してゆくので注意が必要です。今回は亜久利さんに無駄にハラハラさせられたので★は1コひいて4つでいきます。

あとがきにある蓮川さんの「そんなトーンないよぉ〜」という台詞になんか萌え(笑)。あれ、これは『ボーダー・ライン』のあとがきだったかしら……。まあいいや。そしてそして、蓮川さんと久能さんはシュウがお気に入りなのね。なんでこう、私がジェラシーを燃やしがちな人に限って作者様はお気に入りなのかしら。とにかくこのおふたりの友情話はとても興味深いです。あまり小説家とイラストレーターが仕事で出会って仲良しに……っていうのは見ない気がして。もとから同人を一緒にやっていて、とかなら見かけるパターンなんですけど。仲良きことはよきことかな。おふたりの作風はとても相性がよいので、読んでいて、見ていて、とても気持ちがよいです。
そういえばこのシリーズはみな攻が表紙ですね。珍しい。