『聞きたい言葉が ある』上・下巻/久能千明

聞きたい言葉がある(上) (ダリア文庫)

聞きたい言葉がある(下) (ダリア文庫)

「月の砂漠」シリーズの完結編です。完結編の表紙なら、上巻を稔×樹の脇キャラにして、下巻を夏彦×瑞貴にしたほうがよかったんじゃないでしょうか？　いや、なんとなく。

今回のお話は夏彦の子どもっぷりがいとしくも切なかったです。瑞貴たん……。うーん。最後のほうのふたりの会話がとても切ないんですけど。「今の俺を忘れたら絶対許さない」って、何だか離れてしまうことを前提に話しているみたいじゃない。「忘れない、絶対忘れない」って答える夏彦も、何だか離れてしまうことを前提に誓っているみたいじゃない。ダメだ、切ない恋すぎる。稔×樹のほうは万事うまくいってよかった。樹タイプの受（穏やかで、喋り方がいかにも優等生というタイプ）はそんなに好みじゃないけど、このカップルもカップリングとして正しいと思う。だからうまくいってよかったと心から思える。書き下ろしの「半熟卵ができるまで」もよかったです。

でも夏彦×瑞貴がなぁ……。どうにも切ない恋なんですが。な、夏彦のボケ！　気づくのが遅すぎる。いや、違うんですよ。こんなに妙な気持ちになるのは、ゆうべ久能先生と蓮川先生の同人誌の表紙を見てしまったからなんですよ。私はなんだかんだ言って、主要カップリングがいちばん好きな女なんです。ギイとタクミくんの会話が読みたいのです。ギイ×三洲にうっかり萌えたりするけど、結局ギイ×タクミくんを常に切望する女なのです。国政×ノリりんらぶなのです。はじめに見たモノを親だと思うひよこのごとく、はじめに見たカップリングにどこまでもついていってしまうタイプの女なのです。なので私は夏彦×瑞貴たんイチオシなのです。がんばってほしいのです。このふたりの物静かな雰囲気が好きなのです。瑞貴たん、男らしくて潔くてよいじゃないですか。背も高いし。精神的に大人だし。自分の領分をかなりわきまえているというか。もっと踏み込んでもいいと思うんだけどなぁ。

はー。それにしても昨日見た同人誌の表紙が忘れられない。ここまでショックを受けている自分がおかしい（笑）。たかが同人誌、されど同人誌。う〜〜〜。一番悔しいのは「ちょっと読んでみたい」と思っている自分がいることだ……。というかそれを読んで納得したい。同人誌で蓮川さんの涼也さんモエモエっぷりが見られれば、自分のなかで整理がつきそう。そもそもこのシリーズは、久能先生と蓮川さんの愛情がはぐぐまれてゆく様を見守る面白さから私は夢中になったというのもあるわけで、だからあのおふたりが楽しく同人活動をしていたならば、それはそれでいい気がします……。

でもやっぱりヤダけど（笑）。やっぱりいやだ〜〜〜。うわーん。