『OVER REACH・BOY』/蓮川愛

Over reach・boy (ビーボーイコミックス)

Over reach・boy (ビーボーイコミックス)

最近ジョーくんが「BLにエロはいらない」なんてことをよく言っていて、な〜にを今更カマトトぶってんだかとちょっと思わなくもなかったのだが(ほんのちょっとだけよ!)、この漫画を読んだら「そうそう!私が好きなのはこういうホモなのよ!!」と今まで思ってもいなかったことを強く主張したくなってしまった。ちゅー止まりでいいのよ。エロなんていらねぇよ、夏。こういうの良いね。今の爛れたBL界に必要な作風だと思う。もっと漫画描けばいいのにな〜〜〜。挿絵の仕事ばっかりなんて勿体ない。今月のマガビーに漫画が載ってるみたいですね。後でチェックしておこう。

どの話の人たちも「キミたちさっさと付き合っちゃえばいいじゃん!」と声を大にして言いたいくらい正しいカップリングだった。カップリング同様、展開にもあまり意外性はないんだけど「ありがち」ではなく「正統派」という言葉が似合う感じで、読んでいるとすごくほっとする。この安心感はどこから来るんだろう?漫画としてのノリがちょっと古いからかなあ。96〜99年の作品だから多少古臭いのはしょうがないんだけど、それ以前に蓮川先生の絵ってちょっと古いですよね。鼻の描き方に時代を感じる。でもそこが好ましい。


なんだかとっても心に残ったのが「恋の理由」の最初の場面にあった

一目惚れだった
(横の女をさしおいて)

という独白。このつっこみが蓮川さんの漫画の作風とミスマッチで妙に笑えたんだけど、同時に超納得。ほんとそうだよね。横の女をさしおいてホモ。ディス・イズ・BLファンタジー。この独白はBLの真理を端的についた名言として、私の心のBL手帳にデカデカと書き付けておこうと思う。