『キイワードは雨』/久能千明

シリーズの順序からいうと先に『誰もわるくない』の感想を書かなきゃいけないんだけど、今日読み終えたこっちの感想を書きたいから書く。オレはオレのルールで行く。
いやーこの話に出てくる高校生たちはなんて行動力があって好奇心旺盛で、それでいて冷静な判断力があるんじゃろう。きらきらと青春を謳歌しておる姿がはっきり言ってうらやまPのじゃ。わしも夜の学校に忍び込んだりしたいナー……なんてことを年甲斐もなく考えずにいられない一冊。最近学園モノを読んでいると年寄りモードに入ってしまうのだが、どうしてだろう。

あとがきの文章から、久能先生はこのシリーズにとても思い入れがあり、登場人物一人ひとりに深い愛情を注いで書いていらっしゃるというのがよくわかります。きっと蓮川さんとの友情が結ばれる過程においてこの作品が一役買った影響もあるのでしょう(勝手に決め付け)。蓮川さんが「あ〜〜〜涼也さんちょう萌え萌え〜〜〜(ガリガリとファックスを描き付ける)」→久能さんに送信→「蓮川さんの期待にこたえなきゃ!!(ガリガリと小説を執筆)」→作品中の涼也さんの美しさUP↑→「あ〜〜〜涼也さんちょう萌え萌え〜〜〜」→以下延々ループ&その後もふたりの友情は続く

こんな感じでしょうか。きっと崎谷はるひ先生の小説の受と攻のように、お互いに煽り煽られ、燃え上がっていったのでしょう。ところで、蓮川さんって、受スキーでらっしゃるんですかね? 私勝手に攻スキーだと思っていました。だって蓮川さんのイラストって、よくババーーーンと攻がカメラ目線でキメてて、受たんがおずおずと攻を見上げているような構図が多いじゃないですか。だから勝手に攻スキーかと思っていたんですが、実はそうでもないのかも……。こういうのが分らないところが、自分のやおいっ娘としてのカンの鈍さのあらわれな気が致します。

話題がそれました。この作品の話をしましょう。つーかキャラの話をしましょう。わたし、夏彦のようなタイプの攻って好きかも……。典型的なむっつりスケベタイプですよね。意外にシャイだよね、カレシ。こういうキャラクター、何か他のBL作品でも読んだ気がするんだけど思い出せない……。バイトばっかりしていて学校ではいつも寝てばっかりだけど、無駄にガタイがよくてカッコイイ、みたいな。思い出せないや。作品のテーマが「不安」だったということですが、瑞貴たんちょう不安がってましたね。たぶん夏彦のよーな鈍感な野郎相手では、一生不安がつきまとうのでしょうね。でも夏彦も不安がってましたね。ああいうタイプが苦しんでるとなんか凄く胸がすっとするんですけど(笑)。なんでだろうね。やっぱ鈍いからかなぁ。そこがいいんだけど。
学校の怪談」という素材がまた古典的で、超少女漫画しちゃってていいですな! 女性キャラの伊原さんが結構好き。今回はわたしにしては珍しく最初から犯人がわかってしまったんだけど、面白く読めました。でもまさか動機については想像がつきませんでした。うーん。この動機も少女漫画っぽいなぁ。蓮川さん女の子描くのもうまいなぁ。
カンケーないけど、わたしはボーイズラブ作家の人間性を、作品に出てくる女の子のキャラクターで判断することがある。なんとなく作家本人の「人間に対する根本的な考え方」が、BLに登場する「女性キャラクター」に特にあらわれやすいような気がする。
というのはいま思いついた考え。


伊原さんが瑞貴たんの外見的な男らしさに感心するところがとてもよかった。そしてそれに嫉妬する夏彦もよかった。度を越した攻のジェラシーはうざいので、これくらいが適度。ジェラシーばんざい。