『グレイ・ゾーン』/久能千明

グレイ・ゾーン

グレイ・ゾーン

初めて買ったハードカバー(しかも本文二段打ち)のボーイズラブ小説。それにしても、久能先生文章巧くなりすぎです!!もうこれからは風林館高校の蒼い雷と呼ばしていただこう(ポルナレフ)。ついこの間まで読んでいた『月の砂漠殺人事件』が97年の作品で、これが2002年の作品なわけか。5年書いていると、文章って巧くなるんですねえ。こんなに成長の見て取れる作家さんって初めて出会ったかも……。ってちょっと驚きすぎ? いや、漫画家さんならだれだれが絵がうまくなったとか、すぐに思い浮かぶんだけど。
文章の滑りがなめらかになったと同時に、なんだかボーイズラブ度も格段にアップしているな〜。『月の砂漠〜』は花ゆめの少女漫画みたいだったのに、『グレイ・ゾーン』に関しては韓国ドラマ的濃厚な味わいがあった。いや、あくまでこの作品も、言うなれば『BANANA FISH』的な少女漫画風の味付けのハードボイルドなんだけど、それがなお一層韓国ドラマっぽいというか。ちょっとノリが古いんだよね。台詞も古いかな。そこが好き。

受攻どっちのキャラクターがツボというのもないんだけど、カップリングとしてすごく正しかったのでこのカップルには好感が持てる。おいどんは別作品で無鉄砲な刑事さん(受)に惚れたことがあるので、受たんの暴走っぷりにはトキめいてしまった。この受たん、暴走するよなぁ。攻も気が気じゃないだろうよ。「死なばもろともです」とか言うし。なんて思ったけど、攻は根っからのオフェンス野郎なので超お互い様って感じだな。いいんじゃない? そんなカップルがいても。いいんじゃない? 付き合っちゃえば。

挿絵は蓮川さんです。蓮川さんの絵は華やかでいいですね〜〜〜。あ、ボーイズラブ度が上がったのは蓮川さんの絵柄の変化のせいもあるかな。そんな気がします。久能さんの作品に関しては、この挿絵との組み合わせだから好き、っていうのがあるかもしれません。だからリンクスから出ている沖さん挿絵の小説にはまったく食指が動かない。沖さんも作風には合いそうなんだけど……。