『略奪せよ』/水戸泉

略奪せよ (ビーボーイノベルズ)

略奪せよ (ビーボーイノベルズ)

うおおう海賊モノ面白いぃぃぃ。大学生のころ友達に借りたワンピースを読んで猛烈に海賊になりたくなったときのことを思い出した。決めた。私も海賊になる。海賊王に、オレはなる! いや、なんか海賊ってすごいロマンがありますね。昔哀川某アニキが本気で海賊になろうとしたときの話をテレビでしてましたが、アニキの気持ち、今ならすげーわかる。


私は本来外人さんが出てくるボーイズラブ作品には感情移入しにくいタイプの人間なんですが、そんな私のちっせえ心は大きな海が飲み込んでくれたみたいです。なんか外人さんの「Oh……」って感じ(ってどんな感じだ?)が苦手だったんですが、今作の場合攻たんが「ルーク……」とか熱く囁いちゃってもぜんぜんOK、平気でした。イエーイ。萌え萌えなままでイケました。だいじょうぶでした。なんでだろう? 挿絵が蔵王大志先生だったからかもしれません。蔵王先生の挿絵はよいですね〜。でも挿絵の攻たんのビジュアルの類似のせいか受たんの女装のせいか、水戸てんてーのお友達、鈴木あみ先生の作品『東京あまとりあ』を思い出してしょうがありませんでした。別に内容はぜんぜん似ていないのですけれど。

攻たんがしょっちゅう受たんを女扱いしていて、受たんがそれをすごい気にしてるのでかわいそうでかわいそうでなりませんでした。水戸っちの作品では攻たんが濡れ場で「お前はオレの女だー」と所有物宣言するのがよくありますよねー。ほかの作家さんだと「受と攻は男同士として対等じゃなきゃダメなのおおおお」と意固地になってしまうわたくしですが、水戸先生の場合「水戸っちだからいいか!」と思ってしまいます。たぶんそれは水戸っちのエロに対する考え方の漢らしさに惚れているからなのだと思います。あと私自身「濡れ場がワンパターンになったら穴を増やせばいいじゃない」っつーよーな男性向けエロっぽい考え方が嫌いじゃないから、いや、むしろ好きだからなのだと思います。


最近の水戸てんてーのお話というと穴の数がふつうじゃないイメージがあったのですが、この作品はちゃんとふつうでした。あと水戸てんてーのあとがきというと過剰にハジけたイメージがあったのですが、この作品はあとがきのノリもわりとふつうでした(それでも面白かったけど!)。BBNだからでしょうか? 天下のビブ様にはやおい作家の「スタンダードBL度」を上昇させる魔力でもあるのでしょうか? これだからビブ様の小説を読むのは辞められません。好きな作家には早いとこビブ様デビューしてほしいと願わずにいられません。ビブ様、ばんざい! 水戸っち、ばんざい! 借りて読んでしまったのですが予想外に海賊が楽しかったので今度本屋さんで見かけたら購入しようかと思います。ビーボーイモバイルでのコメントいわく、今増刷がかかって三刷までいってるみたいです。水戸っちの好きなことばはたしか「増刷」だったはず。本がさらに四刷、五刷と重ねていけるように、水戸先生の本は古本屋でなく本屋さんで買おうと思います。絶版の大地なんて歌わせない!重版の舞!