『クマとインテリ』/basso

クマとインテリ (EDGE COMIX)

クマとインテリ (EDGE COMIX)

ジョー氏も言っていたが、お話自体は綺麗にうまいことまとまっているし面白いのだが、萌えがない。There is no 萌え。演出の仕方も萌えを感じない理由の一つではあるけれど一番大きな理由はやっぱり絵柄かなあ。表題作の「クマとインテリ」がもし山田ユギてんてーの手によって描かれていたら萌えメーターが振り切れていたと思うもん。こういうはっきりとした太めの線で描かれていて背景にも人間にも柔らかみや温かさを感じられない絵ってちょっと苦手なんですよね。こういうスタイリッシュな絵だとどんな話でも人物たちが飄々としているように見えて、そのなんともいえないオサレ感が苦手。


この漫画、そもそも表紙がオサレ過ぎる!買うのが全然恥ずかしくないじゃん!ボーイズラブを読むということはボーイズラブ書籍を買う時の羞恥プレイから既に始まっているんだよ!その羞恥プレイを乗り越えた先に萌えという名の幸福が待っているのだよ!言うなれば登山と同じ。苦労して登った山の頂上で景色を見ながら食べる弁当ほどうまいものはないが、これがもし徒歩ではなくケーブルカーかなんかで楽して登っていたらそこまで弁当はおいしくないだろう。この表紙はケーブルカーだ。ただ日々羞恥プレイに身を捩じらせている自分としては、たまにこういう表紙のBLがあると戦士の休息めいたものを感じるのも事実だったりする。


色々言ってしまったが、この漫画に対して評価が厳しくなってしまうのは漫画そのものや作者さんのせいではなくて、はてな内での言及のされ方になんだかもやもやしたものを感じるからだと思う。「BLはあまり読まないけれどこれは面白い」というスタンスで書かれている感想が結構多くて、言外に「基本的にBLにそんな良い作品なんてないでしょ?」と言われているような気がしてなんだか悔しいというか。確かに玉石混交が激しい世界だから完全に否定できないのがなお悔しい。否定はできないながらも「他に良い作品もいっぱいあるんだから!」と相手の肩を揺さぶりながら訴えかけたい気分になって、そのフラストレーションがこの作品に対する評価に八つ当たりされているんだと思います……。どれもこれもおたくの被害妄想のような気もするのですが。


お話は普通に面白かったので星は3つ。私にはいい子ちゃん萌え属性があるので「マニフェスト」なんか結構好きです。