『略奪せよ』『征服せよ』/水戸泉

略奪せよ (ビーボーイノベルズ)

征服せよ (ビーボーイノベルズ)

ポップで明るくてちょっぴり切なくてとびきりエッチでハッピーエンドというまさにザ・ボーイズラブな2冊。私が「ボーイズラブ」という単語を聞いて思い浮かべるのはこういうノリの作品で、この手の作品には星3つという評価が猛烈にしっくりくる。レーベルがBBNということでBL度2割増し、挿絵が蔵王大志ということでBL度が3割増し、合わせ技でいつもの水戸っちより5割増しボーイズラブ！って感じのする作品だった。

海賊×海軍士官の話で、攻は受の元上司で提督だったんだけど色々あって海賊になってしまった受にベタ惚れだけど余裕のある大人な男、受は世間知らずでクソ真面目で少年の面影がムンムン残っている金髪碧眼の美青年で、要するに水戸っちお得意の素直じゃない美少年受。不思議なんだけど、水戸っち本人はわりと親父萌え属性のある人で、あとがきでも「亀○○香にしか萌えられない体になったらどうしようかと思った…」と書いてあって、面白すぎて電車の中で思わず鼻水を噴き出しかけたのだが、その嗜好がまったく作品に反映されていないのは何故なのだろう？水戸っちの作風はどちらかと言えば、いやどちらかと言わなくとも完全にショタ寄りだと思うのだが…。私は水戸っちの親父受が断固読んでみたい！一度欲望の赴くまま書いてみてくれ！

それと受に優秀な兄弟がいることが多いよね。大体その兄弟は受のことが好きだったりするんだけど、水戸っち自身が何か兄弟に対してコンプレックスとかあるのかな？水戸っちって兄弟いるっけ？なんかのあとがきで弟のひげそりでスネ毛剃ってなかったっけ？これ記憶違いだったら水戸てんてーに超申し訳ないな…。超意味不明な記憶だし…。

それはそうと『略奪せよ』に断片的に初夜の話が出てくるのに、とうとう作品中でその時のことが描かれなくって微妙に消化不良感に陥っていたら、同時期に発売された小説b-Boyに番外編として初夜話が載っていたらしい。ちなみに『略奪せよ』自体はオール書き下ろし。なんともうまい商売をするなあ。こっちを読んだら本誌が読みたくなるし、本誌を読んだらこの本を買いたくなるじゃん。でも水戸っちならそういうあこぎな売り方をされてもいいです。その印税でおいしいものを食べて下さい。その初夜話も続編の『征服せよ』に収録されていたし、私は満足です。続編は挿絵の濡れ場率が異常に高い気がしました。このシリーズ、なかなか人気があるらしく来年には第3弾の発売も予定されているとか。水戸っちには風呂敷広げ癖がありそうなので（例：薔薇シリーズ）あんまり長く同じシリーズを書かない方が良い気もするのだが、とりあえず人気があって良かったね水戸っち！がんばれ水戸っち！

どちらの本もカラー口絵が激しいので、買うときはカバーに口絵部分を挟むことをお忘れなく。私は続編の方でそのエチケット行為を忘れて、書店の若いあんちゃんに対して大変気まずい思いをしました。