『ブリリアント☆BLUE』/依田沙江美

ブリリアントBLUE (1) (ディアプラス・コミックス)

ブリリアントBLUE (1) (ディアプラス・コミックス)

すさまじくリリカルポップなノリでありながら、読後そこはかとない鬱気分に襲われた一冊。
依田先生、実は門地かおり先生の対抗馬? 
受の七海たんがかわゆければかわゆいほど、落ち着かない気分になるのはなぜ? 七海たんがかわゆいと、わたしなんだか不安になるの。このやり場のない気持ち、どうすればいい? ♪どう〜すればいい〜こたえはない〜などと思わず南條晃司の持ち歌を鼻ずさみたくなる。
依田先生の絵はこれでもかというほどリリカルポップで、ほっくりとした素朴な味わいがある。人物の黒目がかわいい。こんなにかわゆいのに、登場人物達はなかなかどうして性格がきつい。七海たんに無理やり迫っていた例の男性なんか本当に本当に卑怯だし、人として許せない。あのつけ込まれ方からして、七海たんの抱えている問題はかなりシリアスなものだと思うのだが、結局は「とんかつ」で解決してしまう。「おいおいそれでいいのかい」と突っ込みたいのだけど、まぁこれはこれでいいのだろう……。

依田沙江美の絵が好ましいのは、省略がとてもうまいところ。描き込むべきところは描き込んで、抜くべきところはきちんと抜いている。そのあたりのバランス感覚のよさが作品全体に安定感を与えていると思う。
ただ、わたしはこの方の絵柄のイメージと人物の性格のギャップにまだ慣れていなくて、特にこの作品を読んだあとは妙に落ち着かない気分になってしまった。だってこんなにリリカルなのに「男をくわえこむ」とか登場人物に言われてると、妙にどっきーーーーーんとしてしまう。同じ台詞でも、春抱きの香藤が言ってたときはどっきーーーーんなんてしなかったのに……。


こわい……。大人の男のひとこわい……(ぶるぶる)。とカマトトぶりたい気持ちになる。