『願い叶えたまえ』1〜2巻/西田東
- 作者: 西田東
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2005/04/28
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- 作者: 西田東
- 出版社/メーカー: 芳文社
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絵が上手くない上にセンスも結構破壊的なものがあって、あとがきのぶっ飛びセンスもさることながら、マグカップになぜか「猫 猫」と何の意味もなく書かれていたり、今にも宇宙と交信し始めそうな目覚まし時計が出てきたりと細かいところからも目が離せない。目覚まし時計の「ピョンピョコピー」という音と「おきてね」という音と「にょんにょん…」という音(これは擬態語?)がどのように共存しているのかが気になる。全部一斉に鳴っているんだろうか。西田先生の絵は投稿時はきっともっと壮絶なものだったと思うのだが、そんな漫画でも面白さをきちんと見抜いて発表の場を与えてくれるボーイズラブ界の懐の深さが私が好きです。
絵には細かいツッコミポイントがたくさんあるが、物語にはツッコミポイントはほとんどない。西田東の作品には職業に妙なリアリティがあって、更に台詞にも説得力があって読んでいるとぐいぐい引き込まれる。個人的に心に残っているのは「俺を犯すなんてできないでしょう だって俺は男だから」という台詞。これって深見がホモ嫌いだから言った台詞なのかな?でもボーイズラブ界にはあまりない発想で、久しく男を「受」「攻」という概念でしか区別していなかった私にとっては寝耳に水な発言だった。
深見という男はきっと何も失う物がないから強くいられたタイプの人間だと思うので、これから絹川が深見の中で大きな存在となっていくことが深見にどんな影響を及ぼすのかが楽しみでもあるし、怖いというか心配でもある。こういう系統の物語にハッピーエンドな予感を持てないのは『BANANA FISH』のせいだんだろうな…。そういえばこの漫画、ボーイズラブなのに女とばっかりやってる気がする。そもそもこの人の漫画ほど「ボーイズラブ」って言葉が似合わない漫画もないなあ。ボーイなんて全然いやしねえ。