『灼熱アバンチュール』1巻/有間しのぶ

灼熱アバンチュール 1 (ルチルコレクション)

『モンキーパトロール』の有間しのぶさんが己の本能と勢いだけに任せて描いた（と思われる）珠玉の初ボーイズラブ作品。「フィールヤングに描いてる漫画家がBLなんて！」と思ったけど、すっごく面白かった！　超よかった！　この方、この作品を描くまでBLの世界を知らなかったようだけれど、話の流れが超正しくBLしてたと思う。
それでもやっぱり、違うジャンルの漫画を描いてた人らしい地に足のついた感じがしっかりとあって、それが上手いこと作用していた。こういう人はBL漫画によいスパイスとして女性を登場させられるタイプじゃないかしらん。山田ユギたん的な。BLに女性をうまく絡められてる人は上級者だと思う。キャラクター造りの基礎力が高いというか。

この単行本はオール描き下ろし（それもすごいな）なんだけど、今はルチルで連載を持っているらしい。「迅雷ラプソディ」はもう終わってるから、その次のお話なのかしら？　これ１巻なんだよね。続きはいつ出るんだろう〜。
この間読んだオサレ風BL漫画はあまり受け付けなかったのに、この人の漫画はどうして平気なんだろう。そこまでオサレという感じでもないからかなあ。いや、しかしキューティーコミックとかに載っていそうなノリもあるのだが。まー結局話と絵が気に入るか気に入らないかなのかしらん。
この話はただの「強姦から始まる恋」じゃないところがよい。受たんにも罪はあるし。今のところ可哀相なのが和高なんだけど、和高と陽の関係には未だ謎が多いので、これからの展開次第というところか。少女漫画ちっくな線の細い絵にえげつない台詞というギャップもよい。「寝たきりのサオが疼く」ってなんかすごい。そういうのギャップは好き。

つくづく絵の雑さが悔やまれるけれども、この作品に関してはこの独特の荒い作画が合っているような気もする。ただ、登場人物の見分けがつきにくいのだけはやっぱりちょっとマイナスポイントかも。というわけで★4コ。