『SUGGESTION』/崎谷はるひ

SUGGESTION-ANSWER(2) (ラキアスーパーエクストラノベルズ)

SUGGESTION-ANSWER(2) (ラキアスーパーエクストラノベルズ)

のっけからエロ、もうひとつおまけにエロ、いちおう日常、続いてやっぱりエロ、後半の盛り上がりにドラマ、フィニッシュにドエロ――こんな流れだった一冊。
前作『ANSWER』からの続編で、エリートリーマン×やもめの保育士の年下攻もの(ちなみに『ANSWER』は未読)。全編エロにまみれてるわりに、読後なんとなく切なさが残るのは何故なのかしら。ふたりの関係がはるひてんてーにしては珍しく強姦から始まる恋だったから? それにしても攻の真芝氏は強姦から始まる恋だったことを気にしすぎ。こんなに自分の罪に縛られてる攻も珍しいな。はるひてんてーらしい攻の不器用さの表現だと思う。いや不器用な割りに、結構好き勝手やっちゃってるけど。
なんつーか、めちゃめちゃ格好よくって、一見何でも手に入れられるように見えるけど実は不器用な年下攻たんが暴走、それでも両手を広げて攻を受け入れてあげる受たんに、攻大感動、「アンタには敵わねぇよ……(吐息)」「あぁんっ、あっ、みみ感じるっ……!」みたいな流れがこの作家さんのオーソドックスな愛のかたちだと思う(間違ってる?)。あくまでも受が優位なの。いや、実際優位じゃないかも知れないけど、とりあえず攻は「受が優位だ」って思い込んでるの。そこが年下攻的で、なんかツボなのかも知れない。
それにしても「攻(もしくは受)の元恋人がキレて嫌がらせしてくる話」ってたまにあるけれど、これって現恋人としてはかなりショックじゃないか? まぁお互いに出逢うまでは生活が荒れてて恋人もとっかえひっかえだった、っていうような設定も多いけれど、相手の元恋人が最低のヤツだったら私なら結構ショックだ。今作に出てきた井川もかなりキていた。迷惑度では今まで読んだBL作品のなかでも一番かも。こわい。はるひてんてーのこういう部分の描写はみょうにリアリティーがあってこわい。
挿し絵は大人気のやまねあやのさん。絵柄の印象のせいか、勝手に「ビジュアル系同人界のカリスマ」というイメージがあるのだが、受も攻もなかなか男らしくて良いかも。なんとなく線の雰囲気とか、キャラに着せてる服装のイメージがビジュアルっぽいと思うんだが、どうだろう。いやー、こういう華やかでゴージャスな雰囲気を出せる作家さんは人気が出るよねぇ。昔読んだ読みきりがあまり好みじゃなかったんだけど、今度ちゃんと単行本を読んでみようかな。


なにはともあれ非常にエロかった。このレーベルはエロを読ませることを第一義的な目的としているはずなので、小説として非常に正しかった。ここ最近エロに関しては肩透かしを食らうような作品ばかりつかまされていた(って自分の責任なんだけど)ので、とりあえずかなり満足。