『純愛ウイルス』/寿たらこ

寿たらこのシリアス路線万歳と快哉を叫んだ一冊。短編4編のうち最初の1編はややコメディタッチであとはシリアス。やっぱりたらこセンセーはシリアス路線が良いって!何が良いって、痛くても最後にちゃんと救いがあるところが良い。例えば「ピアノレッスン」だったら最後に間に合わない終わり方もあると思うし、その方が物語としてのまとまりも良くなると思うのだが、そうしないところが良い。私は甘ちゃんと言われようがなんだろうがハッピーエンドが好きなのである。それと寿たらこ先生の描く受と攻には「この世で二人っきり」というギリギリ感があるのも良い。そのわりに刹那的な感じがあまりないのも不思議、だが良い。いやあベタ褒めですな。


好きなのは「ラブレス」と「MONKEY PUNCH」かしら。「ラブレス」はさりげなく良くできた話だと思う。なるほどね〜と妙に納得してしまった。本当は台詞や独白に「(笑)」が入るようなノリはあまり好きではないのだが、寿たらこセンセーのオサレ感は嫌いじゃない。