『君が好きなのさ』/谷崎泉

君が好きなのさ (二見シャレード文庫)

君が好きなのさ (二見シャレード文庫)

「受の名前は男らしい方がよい。」、改めてそう思い直した一冊。
何ヶ月か前に読んだ作品なのですでに記憶があやふやなのだが、一昔前のボーイズラブ王道ど真ん中を行った作品であったことは覚えている。

主人公・つぐみ(優柔不断型受)は駆け出しの漫画家で、打ち合わせに行った出版社のエレベーターでカメラマンの浅井(ヤリ放題型攻)に見初められ、その日のうちに浅井に「ヨメさん」宣言される。初めのうちは強引グマイウェイな浅井に対して猛反発するつぐみだけど、なんのかんのといううちに身体は気持ちよくされ、火事で全焼したアパートをおん出されたときには助けられ、だんだんに懐柔されていく。「で、でもオレは浅井さんのことなんか、好きじゃない!好きじゃないんだー!」と自分に言い聞かせつつも、ヤリ放題の攻に流されて何度も身体を許してしまう。
そこへきて浅井さんと過去に関係のあったと思われる男が出てきて、つぐみの心は騒ぎっ放し。

「なんでオレはショック受けてんだ……。
オレ……もしかして浅井さんのこと好きなのかな……?」


とりあえず確か2巻まではこんな流れだったと思うのですが、違っていたらすみません。





とにかくこの受のつぐみがいつまでたっても「攻に無理矢理……」というのを言い訳にしているようで、攻に感情移入して読むタイプのわたくしとしてはちょっぴしつらかったです。一回目ならともかく、二回目にその言い訳は通用しねェゾ。そんなにいつまでも「強姦だ!」なんていわれたら攻たんへこむと思う……。この攻は全然へこんでないけど。そう、ここで攻が全然へこまないというのがそもそも問題で、この攻は、ワイルドで強引で、かっこいーんだけど、なんつーか少し思いやりに欠ける。いや結局は優しいんだけどね〜。うーん。とりあえず読んでいる間中、受たんには「さっさと浅井さんが好きだと認めなさいっ!」といいたくてたまんなかったっす。「それを人は恋と呼ぶのよ」とアドバイスしたかったっす。

とかくシャレード文庫とは相性が悪いなぁ。紙の質は悪いし、フォントもあんまり好きじゃないし、挿絵すけて電車の中で読みづらいし。取り敢えず挿絵が好きなので、★は2つ。このタッチの「一昔前」な雰囲気はかなり好き。あと浅井さんにもう少し思いやりがあれば、私の好きなタイプです。