『うつむく視線』/高久尚子

うつむく視線 (drapコミックス)

うつむく視線 (drapコミックス)

お値段が高かったためつい評価が辛くなってしまった一冊。
この漫画家さんの絵柄は受たんのあいまいな表情が魅力的だと思うのだが、作品全体を通してもぼんやりとした印象となってしまったのが残念。
まず、ギャグ絵と地の絵がしっくりきていない。あと、この漫画家さんは描けないものにも果敢に挑戦するタイプのようで、車や背景など、恐らく苦手だろうに描こうとするから、えらいというか、少しだけ要領が悪く感じられてしまう。苦手なものは描かなければいいのにと思ってしまう私は、この方によしながふみ式の省略法をおすすめしたい。漫画の絵は「それらしく見える」というのが大事だと思う。逆にいうと「それらしく見えない」と、作品に説得力が出てこないということだ。いっそ描かないのも手だと思う。
あと、下半身が描けてないのが気になってしまうところ。第二話のトビラ絵を見てもらえれば、私の言いたいことはわかってもらえると思う。この下半身はないだろう! 上半身はすごくよいのに〜。この人のカラー、好きなのになァ。まぁ下半身苦手というのは少女漫画家によくあることだけど、やおいっ娘は下半身重視の人が多いと思うので(なんとなく)、がんばってほしい。上半身だけのイラストはいい感じなんだけどなぁ。歩いているところとか、立っているところの絵のバランスが悪い感じがするんだよなぁ。
文句ばかり言ってますが、かわいい絵で好きです。でも話の内容はよく思い出せない……。病院で出会った先生同士のラブで、「浮気?!」と思ったけど浮気じゃなくて、結局らぶらぶっていう話だったよーな気がします。眼鏡の攻が実はやる気満々の辛抱たまらんタイプの攻なんだけど、絵があっさりしていて全然辛抱たまらなそうに見えないので、作品全体にパンチが足らなかったのかも。攻の辛抱たまらん感がもっと出ると、作品全体のテンポがよくなる気がする。辛抱たまらん攻に期待。