『調教しないで』/水戸泉

調教しないで (リーフノベルズ)

調教しないで (リーフノベルズ)

タイトルの語尾に「はあと」をお忘れなく、な一冊。
こ・これは水戸泉てんてーの最高傑作かもしれない!!おかしさ(色んな意味で)のあまり電車の中で何度も声を上げそうになった。

上から人間が落ちてきた!?目が覚めるとそこは病院。九死に一生Lucky!かと思いきや、鏡を見てビ〜ックリ!!そこには見知らぬ美少年が。そのうえ見舞いにきた美貌の青年は、どうやらこの少年のご主人様らしいのだ。中身は嫌がってるのに体が勝手に反応しまくり、イキまくり!命令されればどんなことでもしてしまうこのカラダっていったい?「ほら、早く。わかってる?おまえはもう僕のなんだよ」『調教しないで』っていうより、『調教ズミ』?

要するに自分の魂が美少年の中に入ってしまったというありがち(でもないが)なボーイズラブなのだが、この美少年の身体に入ってしまったのが87歳のおじいちゃん。ぶっちゃけありえない!と思わずプリキュアの主題歌も口ずさみたくなるような展開なのである。87歳というのは受の最高年齢なのではないだろうか?あくまで肉体は16歳なのだが、87歳にもなって男にやられまくる人生を送る羽目になる大吉じいさんには同情の念を禁じえない。立派な高齢者虐待だと思う。


それにしても常識人が大吉じいさん以外誰も出てこない小説だった。いや、大吉じいさんもその順応性の高さは異常かもしれないが。結局本当の忍くんが漣に対してどのような思いを持っていたのかが気になる。実はこれ、かなり切ない話なのではないか?続編を読みたいという程気になるわけでもないのだがそれなりに気になる。


水戸っちの小説といえば楽しみなのはポップにネガティブなあとがきだが、その弾けっぷりもかなりの勢いだった。なんで関西弁なんだろう?なんで一人称がおっちゃんなんだろう?水戸泉てんてーの実年齢が分かるという意味でも貴重な一冊であった。