『クマとインテリ』/basso

クマとインテリ (EDGE COMIX)

クマとインテリ (EDGE COMIX)

はてなダイアリー内のあまりの言及数の多さに、つい手に取ってしまった一冊。裏表紙を見ると、「『イタリア男、スーツ、眼鏡』がテーマの小粋なCOMIC」と書いてある。それだけで「(しーん)」って感じなのだが、まぁとりあえず読んでみる。
「コン テ」は三流政治家×レストランのボーイもの(ただしリバあり)。この作品の中の、「老眼鏡って萌えるナー」という台詞にものすごく違和感があった。二次創作ならともかく、ギャグでもなんでもない作品に「萌え」という言葉が出てくるのに個人的に違和感があるんだと思う。たぶん「萌え」という台詞を吐いてよいのはよしながふみの『フラワーオブライフ』に出てくるイケメンオタクだけのような気がする。あと、ボーイが政治家に惚れ直し仲直りした一連のシーンが納得いかなかった。結局攻の仕事を一番邪魔してるジャン!と思ってしまう。
ただ、最後のページの構図は好き。
表題作の「クマとインテリ」はカメラマン×政治家(前首相)。この話がよくできていて私は好き。それはきっと私が「日常から隔離された空間に男がふたりきり」という状況が好きすぎるせいかしらん。これはとても良かった。
まるまる描き下ろしで収録されている「ジェラートにまつわる三つの短編」、これの「昼下がりの部屋」がとても好き。なんか同人っぽいんだよ。もしくはボーイズラブ漫画の巻末に収録されているちょっと気のきいた描き下ろしおまけっぽいんだよ。



とりあえず全体的にオサレな雰囲気が漂っていて、全然ボーイズラブを読んだ気がしないので、本当はここに書評を載せるのかどうかも迷った。星の評価も基準に当てはまらない気がする。でも構図や見せ方なんかよく工夫されているし、上手いなと思う台詞もあったし、丁寧な作品で好感が持てることには変わりなかったので、とにかく星は3つつけておいた。ただし、やおい女としての私の飢えた心を癒してくれる種類の作品ではなかった。萌えがなかった。たぶん、絵柄の好みの問題もあると思う。この作者の絵柄はワン○ースとかデ○ノとか、ジャンプ系の同人誌によくありそうな絵というか、とにかく私はちょっぴしニガテである。でも今まで買ったボーイズラブ漫画の中で最も買いやすい表紙であったのは事実。はてダ内の言及数の多さも納得できる。調べてみるとIKKIエロティクスにも作品を発表されている方みたいなので、当たり前といえば当たり前なのだが、こーいうオサレな作風の人のBL本はやっぱり売れるんだなーと思ったら何だか妙に切なくなった。
なんか、あらさがしをするみたいに読んでしまった自分に嫌悪感。