『お嫁においでよ！』/寿たらこ

お嫁においでよ! (アイスコミックス)

初寿たらこな一冊。久々に近所のブックオフに行ってみたらBL漫画が異常に充実していて驚いた。何が起こっているんだ、マイ地元。そのおかげで寿たらこ先生の漫画を手に取ることができたのだからまあいいが。

私は依田沙江美先生のようなファンシーで丸顔な絵柄が好きなので、寿たらこ先生はそのややゴツめで面長な感じの絵柄から今まで避けていたのだが、なかなか面白いじゃないか。「心臓複雑屈折」と「サンドバックちゃん2号」が好き。やや痛めのシリアス路線で、後者の話はもう本当に色んな痛いのだがこういうブラックながらもそれなりにハッピーエンドな話が私は好きだ。普段はBLについつい笑いを求めてしまう傾向がなきにしもあらずなのだが、たまにこれくらい痛い話（でもヘタレなので救いがなきゃ嫌）が無性に読みたい時があり、私のそんなわがままなツボを的確についたお話を寿たらこ先生は描いて下さる。

それにしても裏表紙の「シリアス・ラブコメなんでもアリの作品集」という言葉がここまで合う単行本もないだろう。本当になんでもありだった。ありすぎだった。「尻掘れワンワン」とそのカラー口絵には度肝を抜かれた。ラスト2編の気に入り度合いから言って本当はこの本には星4つ付けても良いくらいなのだが、「尻掘れワンワン」に度肝と共に星の数まで抜かれてしまったようだ。「死ぬ前に処分必須な書物」コレクションにまた新たな一冊が加わった。