『夢はきれいにしどけなく』/崎谷はるひ

夢はきれいにしどけなく (角川ルビー文庫)

夢はきれいにしどけなく (角川ルビー文庫)

「はるひてんてー、一冊長すぎだよお〜ん」と思いつつも、素直に面白かった一冊。
福田関係の描写がやたらノリに乗っているなぁと思ったら、あとがき読んで納得。おじ様、お好きなんですね!そういう「好き」の感情がストレートに感じられるボーイズラブは好ましい。なぜならそこに書き手のこだわりが感じられるから。そのこだわりに自分が共感できるできないとは別に、「こだわってしまう」、何かに固執することそのものに超共感する。やおいっ娘として。こだわりのないやおいっ娘なんて、認めませんから!!
コレ↑、前に言っていたこと(和泉桂てんてーの『揺れる吐息に誘われて』の感想)と激しく矛盾しているので、アレはただ単に私が言葉責めが苦手なだけだったということですね……。でも小説の方が評価が厳しくなることは事実です。

まぁいいや。とりあえずこの本の内容に話を戻そう。
ええ〜とクールな眼鏡エリート×イノセント美少年の甘々ラブ〜ときとしてミステリー風〜というのが本作の主軸なのれすが、攻・志澤さんの職業設定のせいか、非常に壮大なストーリーが展開されます。受・藍たんの濡れ場での受っぷりもなかなかの展開を見せておりますが、今作はフツーに話に引き込まれてしまいました。いや、かなりぼーっと読んでいたもので、「えーーー!これはこういうことだったのぉーー?!」なんて、ふっつーにかなり驚いてしまった事実などもありました。ラブの部分とは別のところで次巻が楽しみだったりします。ハァハァ。

ところで私は、イノセント受も美少年受も余り好きではないので、当然のことながら藍たんも好みのタイプとは合致しないのですが、このカップルには結構好感を持っています。ときめくとかじゃないんですけど、「幸せになってね……」と素直に願ってしまう何かが本作にはあるのれす。それはきっと、志澤さんがはるひてんてーの攻キャラにしては珍しくボーイズラブ的な台詞を吐いてくれるからなのだと思います。葛藤が伝わる不器用な台詞というか。はるひてんてーの書かれる攻は割合世話女房攻タイプが多く、あたりが柔らかい男性が多いので、こういうかっちりしたタイプの攻は新鮮。おカタい男性はちょっと受っぽくてよいですね。既に精神的には藍たん攻になりつつあるような気も……。
志澤さん視点の描写もきちんとあるから、彼の必死さがよく伝わってくるし……。彼はちょっと瀬名社長@薔薇シリーズっぽいのですよね。薔薇の場合は瀬名視点の話なんかないのでこちらとしては想像するしかないんですけど、この作品は志澤さん視点がかなり細かいので、ついつい感情移入してしまうのです。彼は物凄く葛藤してるんだと思う……。明かされた新事実によって、葛藤倍増、背徳の性欲倍増って感じですね。いや、見てるこっちとしては面白いやら同情するやらですが……。


いや、とにかく志澤さん、がんばってください。
応援してます。あなたのファーストラブ(だよね?)を。