『踊る月華』『真緋の月』/甘野有記

踊る月華 (アクアコミックス)

踊る月華 (アクアコミックス)

真緋の月 (アクアコミックス) (オークラコミックス)

真緋の月 (アクアコミックス) (オークラコミックス)

ギャグ絵とシリアス絵の温度差が作品の味を損ねるくらいならいっそギャグ絵は要らないと思った二冊。

銀行の頭取×元鳶職の古本屋店主の従兄弟同士ラブ。攻が「かずちゃんかずちゃん」と受に甘えて、受の方がどーんと構えている感じは嫌いじゃない。むしろ好き。絵柄の雰囲気からさぞやしっとりした作風なのだろうと思っていたが、中身の方はそうでもない。特に2巻目からギャグ絵とシリアス絵の落差が気になって気になって、作品に集中できなかった。どれくらい落差があるかというと、河原和音くらいを想像していただくとちょうどいいと思う。ギャグ絵含め、もう少し絵柄に安定感を期待したい。
途中、高校生時代受への想いを持て余していたころの攻の元恋人が、受に対して嫌がらせをする話があるんだけど、その元恋人のイっちゃってる表情が実によく描けているので、「この方、ホラー漫画家になればいいんでねえの」と思った。あのカオ、今思い出しても怖いよおおお。

あっけらかんと明るくも不器用な受たんと、心配性で甘えん坊の攻たんが終始ラブラブといちゃついており、なんだかんだ文句言いつつも満足……とは言えないまでも買って後悔はしていない。ただ、次本屋で新刊を見かけて購入するかと言われると微妙。よって星2つ(正確には2.6)。