『イリス 虹の麗人』/山藍紫姫子

イリス 虹の麗人

イリス 虹の麗人

パンチが足りない。山藍てんてーなのに、こんなんじゃ全然パンチが足らないよ。はしたないながらも、わたくし、いつクロード・ダリの弟を交えて三人でくんずほぐれつが始まるかと、期待にドキをムネムネさせていましたのに…最後の最後まで受様は「いや…いや…触らないで…」だし、オチはただの攻様からのコミュニケーション不足による思い違い勘違いだし。文章もすかすかした感じで、いつものみっしりと息苦しいくらいの気迫が感じられませんでした。ガビーン。その代わり、万人が読みやすい両性具有ものに仕上がっている気はいたしました。また、なかに挿絵がないのもポイントです。電車で読みやすいのでオススメ。装丁は、すこしあざとい印象を受けました。これはこれで、綺麗でよい気もしますけど。

ところで私、この間、野阿梓先生のホームページにある、「祝・山藍紫姫子氏 デビュー10周年記念ページ」という特集ページにはじめてアクセスしました。そこで紹介されていた、あまりにも情熱的な山藍紫姫子評。どこのどなた様が書かれたのかしら、と思ったら、天下の萩尾望都先生でした。これには度肝を抜かされました。萩尾先生いわく、山藍先生のエロスはSF的であると。山藍作品にある性とエロスはどこかメタリックで、SF的であるというのです。



なにがなんだかよくわからないけど、山藍作品をそんな風に感じる萩尾先生も、萩尾先生にそんな風に評される山藍先生も、やっぱしすごいと思いました。