『プリティ・プリンスv』/あすま理彩

プリティ・プリンス (プラチナ文庫)

プリティ・プリンス (プラチナ文庫)

ぶっ飛んだ感じのBLが読みたくて、プラチナ文庫をチョイス。題名のハートマークと受の肌色具合に、私の望むカッとんだ様子を直感して本書を購入。久々に何も考えずにBLBLしたBLが楽しめるかしらん、と意気揚々と読書に取り組んだ。が、久々に文体が無理な小説に出会った、という印象。
個人的な、本当に個人的な問題だと思うんだけど、この方の三点リーダの使い方は受け入れがたい。

  • バイトをクビになったということは…俺にとっては死活問題だったりする。
  • こんなのが…退職金…。
  • そういえば…。最近どこかの国の国王が来日しているらしい。
  • 面白そう、…と思いながらも前売り券は丁重に辞退する。
  • 俺は…曖昧な同意を返す。
  • 人恋しい時にまるっきりの一人というのは、…こたえる。
  • 誰にも言えないけれど、…そんなささやかな夢を持っていたりする。
  • そんな…自分を欲しいと言ってくれる…人に。

開始12ページで…これだけ無駄な三点リーダを、…地の文で連発されると、「おまえのモノローグはダイイング・メッセージか」…と…。突っ込みのひとつも…、入れたくなる…。

って感じです。日本語としても、原稿に推敲の余地がありすぎると思いました。私にとって「文体が無理」っていう感覚は、人と話していて「この人のしゃべり方苦手かも…」と思う感じに似ています。相手が何を言っていても、しゃべりの癖が気になって集中できないんですな。


でもエロはがんばってらっさいました。そのあたりは流石プラチナ。かんべあきら先生の挿絵もこの上なく作風にマッチ。プラチナ文庫のよさは、本そのものの重量の軽さ。かばんに入れて持ち歩くとき、カル〜いカルちゃんランドセル♪って感じです。内容的な軽さと比例しているとは思いたくないのですが、お手軽にエロを読みたいときはいいんでしょうね。文体がOKなら、楽しめる一冊なのではないでしょうか。個人的には難しい一冊でした。あとがきのテンションにもなじめず。よって★はひとつ。