『Open air』/角田緑

Open air (Dariaコミックス)

Open air (Dariaコミックス)

角田先生の新作は、何だかんだ言いつつ毎回購入してしまう。

角田作品のカップリング傾向は、大体いつも「おおざっぱで明るい攻×繊細で小難しい受」。本作もこのパターンを踏襲しつつ、受が十代の少年という点では既刊と差別化がなされていたように思う。先生はふだん、大人を描かれることが多いから。

内容のほうは、王道的展開を見せる非常にストレートなボーイズラブ。絵のタッチも素直なので、物足りなく思う人も多いかも。とってつけたよーな受のトラウマには「なんだかなー」と思いつつ、後半見せる養父に対する健気さには、本作の攻同様、胸kyunしてしもうた。か、可愛いじゃねえか(ハァハァ)。いつも言ってますけど、角田先生の受が他の人の描く受と違うのは、ちゃんと自分の気持ちを自分から攻に告白するところ。偉いな〜。流れに身をゆだねてたら、きっとこの攻がやさしく手篭めにしてくれただろうに。

私が思うに、ボーイズラブの受って、なんでもかんでも攻のせいにするキャラが多いのですよ。なんでか知らないけど、BLって強姦からはじまる恋が多いじゃないですか。その流行も最近は薄れつつあるような気もしますけど。受曰く、「初回は強姦だった」。だから、二回目が大事なポイントになるわけですね。強姦事件をきっかけにして受が攻に惹かれていく描写をふまえつつも、受としては「二回目でもまだ自分の気持ちはようわからん」というのがBL的王道。で、三回目、四回目と回数を重ねても、「いや、これは合意の行為じゃないから…」ってそんなん許されるかい(半ギレ)。バカ言ってんでねーよ、と思うわけです。でもそういう受、多いよね。昔はその手の受にイライラさせられることが多かったせいか、私は角田作品に対して過剰に評価が高いのかもしれません。偉そうな言い方ですが。
ちなみにその手の受が登場する作品で私が耐えられなかったのが、谷崎泉さんの『君が好きなのさ』でした。一巻で挫折。攻びいきだったせいもあるけど、いつまでも自己欺瞞を続ける受の途中で愛想が尽きてしまいました。人気作だったし、もしかすると二巻目以降で素晴らしい展開を見せたのかも…。でも受の名前が「つぐみ」な時点であの作品はムリだったんだ…(受のガーリーな名前に拒否感)。