『騎士と誓いの花』/六青みつみ

騎士と誓いの花 (リンクスロマンス)

騎士と誓いの花 (リンクスロマンス)

リンク元を見てみたら、あるライブドアブログさんがリンクはってくださってたみたいで、ふだんでは考えられない数の方がこちらに迷いこんでこられたみたいです。吉良吉影のように静かに暮らしたいやおい女としてはちょっとビクビク。それはいいとして、六青みつみ先生のリンクスロマンスをまた1冊読みました。どーでもいいんですけど、リンクスロマンスのロゴマークって、あれ、猫のシルエットをあしらっているんだね! マジマジと見てやっと気が付きました。可愛いと思います。私、リンクスロマンスは好きなレーベルで、多分30冊程度は手元にあると思うんですけど、昨日初めて気が付きました。どのレーベルよりロゴマークは可愛いと思います。

『騎士と誓いの花』。なんかすごいタイトルです。まぁ、「騎士」と書いて「ナイト」と読ませるようなセンスがないだけ、ファンタジーものといえどハードルを下げてくれてる感じです*1。そう、私、ファンタジーって大の苦手。BLそのものがファンタジーみたいなもんじゃろうっていう突っ込みは脇においておいて。こう、竜とか賢者とかベホマとかホイミとか、なんかそーいうもの全般が苦手。私がこれまで夢中になったファンタジーは『ベルセルク』(三浦建太郎白泉社)オンリー。あれも別にファンタジーの部分でなく、人間同士の愛憎劇のほうに惹かれて読んでいたわけで……。基本的にはカタカナそのものが苦手なわけで……。日本史受験なわけで……。BLで外人が出てくると、ホンモノ臭が薫って、逆にファンタジー度が下がってしまうわけで……。

と思っていたけど、全然大丈夫でした。あとがきでご本人が仰っていますが、テーマは「身代わり」。このテーマがやおい女を熱くさせる。可哀相な奴隷の少年・リィトは、愛する騎士・グリファスのために、皇子の身代わりをつとめるのです。途中いろいろあって、まぁ最終的に二人はくっつくわけですが(ひどい説明ですみません)、その過程が実に丹念に描かれているんですな。特に攻側の心情ね。これね、受が攻に惚れちゃうのは当たり前だと思うんですよ。それまで大人にやさしくされたことなくて、そこにこーんなイケメン騎士に「お前を守る」なんて誓いをたてられちゃったら、そこはもう惚れないほうがおかしい。で、攻側の心情なんですけど、そこが読者が納得できるように上手いこと書いているな、と思いました。初めは「こんな年端もゆかぬ子どもを利用するオレ…なんて非情な男なんだぁ!」という罪悪感なんですけど、この苦悩する様がたまんない。もっと苦しめ!と思っちゃう。ひどいですね、私。でもBLで攻が理性と闘って苦悩してる様とか、大好きなんですよねー。やっぱBLは男への復讐のために読むものなのかしら? よくわかんないけど、苦悩する様が良かったです。とにかくこの種の罪悪感って恋心の促進剤として作用しそう。そして、先日読んだ『遥山の恋』と同じく、今回も「気まずい二人」が堪能できて幸せでした。攻が受たんを不用意な発言で傷つけて、二人がぎくしゃくしちゃうんですけど、「想い合う二人のぎくしゃく」スキーとしては非情に萌えました。思う存分すれ違うがいい。ふふふふふふふ。とアルカイックな微笑みを禁じえませんでした。

それにしてもこの受はちょっと泣きすぎ。マジで目が溶けちゃうと思います。

*1:ナンバランならやりかねない。つーかやってた気がする。