『オヤジ回廊へようこそ』/みささぎ楓李

オヤジ回廊へようこそ (ビーボーイコミックス)

オヤジ回廊へようこそ (ビーボーイコミックス)

オヤジ(受)について熱く語ったエッセイと、読みきり漫画が収録された1冊。オヤジ受の供給不足に喘ぐ作者の暴走ぶりが面白い。結局いつも「誰かオヤジ受を描いてェ〜〜〜」としか言ってないんだもん。これはこれでアリなんだけど、私の感覚としては、こーいうエッセイの類はもっとテキストにボリュームをもたせて、畳み掛けるようなトークを展開したほうが面白いかな、と思う。画面がスカスカしててもったいない。これは、櫻井しゅしゅしゅ先生の漫画を読んでいても感じること。

ゲストで出ている山田ユギ先生のエッセイが非常にまとまっている&的を射る内容で素晴らしい。

●山田先生の好きなオヤジ三種 
1、ふみ台オヤジ 
2、色ボケオヤジ 
3、トラウマオヤジ(ごちそう)

これには深く共感した。
まず第一の「ふみ台オヤジ」。これは関係がスタートする時点では、攻のほうが受よりも劣位にいるということを意味しておるわけです。年下攻なんかでもよくあるパターンなわけですけれども、たとえば新田祐克の『春を抱いていた』の香藤も、岩城さんに対して「ぜんぜんかなわない」的なことをよく口にしている気がします。で、尊敬する岩城さんと対等になるべくがむしゃらに頑張るわけですな。ここで頑張れるコかどうかがその年下攻の質を決める重要なポイント。肉体の力(および性的テクニック)で受を凌駕して満足してる攻は甘い。と思う。あと攻の受に対する「敬意」。これポイント。受と攻の間に、互いに対する「敬意」がある場合、良質なBLに仕上がっていることが多い(気がする)。
第二の「色ボケオヤジ」。これも非常に重要。街中でイチャつくカップルには「色ボケてんじゃねえよ!」と教育的指導をしたくなる小生だが、居酒屋で酔って上司にしなだれかかるサラリーマンの姿には「お願い!お願い!もっとやって!」と思ってしまう。そんな私が、どうして色ボケたオヤジたちを愛さずにいられるだろう。むしろ色ボケを全力で推奨したい。そして最後の「トラウマオヤジ」。受に美味しいトラウマがあるのはBL界にありがちなこと。トラウマを作るとドラマが展開しやすいのかしらん。攻にトラウマのある話もいくつか読んだけど、大抵重度のマザコンだったりして攻のかっこよさが際立ちにくいのである。ドドーーーンと受け入れるタイプの超男前受を描いてくれない限り、萌えにくいのことこの上ないのである。攻にトラウマのあった作品といえば、『天国が落ちてくる』(高遠琉加)、『課外授業のその後で』(池戸裕子)以外、いまぱっと思いつかない。漫画では何かあったかな。

あとね、この本を読んでいて思ったんだけどね、みささぎ先生、私もオヤジは受だと思います。どーしてか世の中ショタといえば「ショタ受」になりがちですけど、ショタは攻だし、パパは受です。子持ちな時点で、なんかちょっと受。

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うーん。私はねえ、オヤジ×オヤジがいいです。オヤジが、2歳年上のオヤジを攻めるのがいいと思う!!!!