『自己破壊願望』/松田美優

自己破壊願望 (SHYノベルス167)

自己破壊願望 (SHYノベルス167)

わたしの数少ない日参書評ブログがみなさん絶賛されていたので手にしてみた一冊。人がいいっていっているものは試さないと気がすまないタチ。
本書の印象は、クールで無駄のないBL、といったところ。攻のキャラ造形はよくある「ザ・ヤクザ攻」でそれほど新鮮味はないのだが、受キャラがなかなか骨のある男でおもしろい。受も攻もスケコマシ、スケコマシ同士のカップリングということで、いいんじゃないでしょうか。あとね、受がピンサロの呼び込みをやらされるっていうのがおもしろかった。ピンサロの呼び込みって、BL的に「受には向かない職業」じゃないですか。あんまり色気ないっつーか。欲望産業で頑張る男って、体育会系のノリがあると思うし。そこがよかったな。

どうでもいいけど、初めて行為にもつれこんだとき、あんまりにもあっさり挿入が完了していたのでたじろぎました。多分あれでは受のアナルは裂けていると思います。なんか最近そういう描写にリアリティ持たせすぎな小説が多くてそれもちょっと…なんですけど、あんまりにも性急な小説には、やおい穴の存在を疑って、待ったをかけたくなります。小説より漫画のほうが「やおい穴」の存在をクローズアップして語られがちだけれど、小説にもやおい穴ありますよね。

あとホームページにあるショートストーリーにおける「思えば攻はいつもこんな風なやさしい顔をして自分を抱いていた」みたいな描写が気にくわん。そうなの!?この攻もただのツンデーレだったの?!そんな風に思いたくなかった。がびーん。もうちょっとこう、初めのうちは虚勢でもいいから、ヤクザとしての暴力性をですなぁ……。まぁ、この攻はかっこいいです。なぜなら私はこういう感じの、男の短髪が好きだから。


タイトルが若干大げさだと思う。別にそーいうノリのお話でもないような。何にせよ、シャイノベルズはいいですね。今一番安心して買えるレーベルです。松田先生には今後、シャイノベルズでナイスヤクザ年下攻ものを書いていただきたいです。ナイスヤクザ年下攻を(2回も言う)。