『愛と憎しみの迷宮』上下巻/山藍紫姫子

愛と憎しみの迷宮〈上〉 (バニラ新書)

愛と憎しみの迷宮〈上〉 (バニラ新書)

愛と憎しみの迷宮〈下〉 (バニラ新書)

愛と憎しみの迷宮〈下〉 (バニラ新書)

もしも私が明日死ぬことになったら真っ先に処分してほしい蔵書のうちの2冊。おそらくこれがアラブものの走りだろう(そんなわけねえ)。山藍先生、時代を先取りしすぎです。これはキョーレツ。秋田書店っぽい黄色にくすんだ紙の質に、女性向け週刊誌掲載のレディコミのような品のない裏表紙の煽り&帯の文句「淑女伝説」。アラブの王子に手術され、両性具有のからだになっちゃう可哀相な男性・アイシスが本作の主人公でございます。
まぁ、小説の内容には特にコメントすることがないんだけれど(笑)、挿絵の入るレイアウトが!とにかく!とにかく斬新!「こんなレイアウト、アリなのっ!?」と思うような斬新なレイアウトで飾られる男同士のくんずほぐれつな濡れ場挿絵の数々に、あなたの心もKOされること請け合い。
古本屋で見かけたら、ゼヒ購入していただきたい2冊。損はさせません。小林智美さんの美麗なイラストも拝めます(1色だけど)。


最近、山藍紫姫子さんという作家さんに非常に興味があって。それでこの作品を読んでみたんだけれど、この人、結構普通のやおいっ娘なのかも知れない。あまりにも作風が耽美だから、誤解していたけれど、ノリが意外にフツー。ガッチャマンで同人誌を出していたり(まぁこれは塩沢兼人が出ているからだろうが)、ブログの投稿者の名前がそのガッチャマンのキャラクターの名前だったり、意外にノリが気さくというか、気取らない印象を受ける。そういうのってなんか素敵だな。本書は『冬の星座』の改訂版らしいが、旧挿絵は四谷シモーヌだったらしい…。よりによってシモーヌ…。
全体的に、アニメ『哀しみのベラドンナ』のやおい版、って感じ。いや、話の内容はぜんぜんちゃいますが。