『窮鼠はチーズの夢を見る』/水城せとな
- 作者: 水城せとな
- 出版社/メーカー: 小学館クリエイティブ
- 発売日: 2006/01/26
- メディア: コミック
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昔ポールさんが感想に書いていたとおり、受も攻も、受の元嫁も浮気相手の人妻も元彼女も、攻の元彼も、みなしみじみと嫌なやつだ。出てくる人みんなが、しみじみと嫌なやつであることに感動する(そして、これだけの種類の嫌な人間の心情をたくみに描き分ける手腕に感動する)。
この人達はみな、門地かおりの『生徒会長に忠告』第1巻を読むべき。知賀くんの「自分が精神的に未熟だったから相手の気持ちをないがしろに出来たんだ…」という台詞を骨に刻むがいいと思う。そして、この流されまくりで生きてきた先輩は、後輩くんの気持ちを真に受け入れたとき、後輩くんを抱いてあげるべき。春抱きの岩城さんのように。このCPに私が感じた蟠りは、それによって80%くらい解消される気がする。あとは、みんなちょっと独善的過ぎるので、もう少し他人に思いやりを持って生きたほうがいいと思います。それが残りの20%。
リバーシブルは、BL界でそこまで歓迎されるものではありませんが(大丈夫な人も多いというけれど)、これはレディコミだし、そういういうものに果敢に挑戦しても良かったかな、と。むしろテーマ的にリバが合っているような気がしました。はてなのレビュー数が、BLジャンル(これをBLと呼んでいいのかよくわからないが)のなかでは格段に多いですね。確かに、読んだ後にああだこうだ語りたくなる作品だ。タイトルと帯も巧い。売れる条件は揃ってると思う。
はぁ。それにしても後味の悪い作品だった…。シーン的には「温泉」の会話が良かったです。ここだけはせつない。