『恋愛操作』/蓮川愛

恋愛操作 (スーパービーボーイコミックス)

恋愛操作 (スーパービーボーイコミックス)

どうでもいいネタふたつ。

  • 1.なんでエビリティのコミカライズは蓮川先生じゃなかったんだろう。エビリティの古いノリには蓮川先生は超合うと思うのだが。
  • 2.タイトル、絶対「れんあいそうさ」と読ませたほうが格好いいと思うんだけどなぁ。れんあいこんとろーるってなんか響きがおカルくないですか? 軽いカルちゃんランドセルって感じじゃないですか?

まぁ、それはそれとして、この漫画はなんてゴージャスなんでしょう。蓮川先生の漫画はとにかくゴージャスです。なんでかっていうと、画面が超充実しているからです。BL漫画って、描きたいシーン、描きたい人物だけ気合を入れて、あとの背景なんかは超おざなりだったりすることが割合多いんですけど*1、蓮川先生ってディテールに気合を入れて描かれる方なんですよね。同人誌のコメントとか読んでも、いつもそう思うんですけど。だから、ぼやぼやと白く抜け落ちたページがない。口絵のカラーの塗りも見事ざます。これはもう、漫画家としてのテクニックなんですよねぇ。それに、華がある。独特の古さもあるんだけど、とにかくBL的な華があると思う。こういう繊細な絵はとかく崩れやすいので(本書にも絵が不安定になっている箇所がいくつかあると思う)、多分描いているご本人も絵には全く気が抜けないところだと思います。どう見てもヘタうまな絵ではないもの。
帯にもあるとおり、表題作はアダルティーな雰囲気なのれすが*2、抱き合わせの徳間キャラの読みきり連作が思い切り高校生のかわいこちゃんとのカップリングで、一冊の単行本としてまとまりに若干欠けている気がした。そこが惜しい。性描写がなくても読ませる、好感の持てるお話でしたけどね。時には蓮川先生の描く大人なエロスに溺れたい夜もある。ねえ、そうでしょう、みなさん!? ……というのは冗談です。私自身は蓮川先生の描くエロシーンにはあまりエロ気を感じません。健康的っていうか、清潔感があるんだもん。受の肩のラインはエロいと思うけど。
攻は社長さんだし、話の内容もゴージャスなのに、受も攻も名字が割合ふつうなところが良かった。あと書き下ろしネタのサングラスの形のダサさに蓮川先生の本質を見た(笑)。「同じサングラスでも、もうちょっと、なんかこう、……あるだろう!!」と言いたくなりますが、実はそんなところが好きだったりします。この方は古い少女漫画の文法にのっとっている感じがしますね。ところで、蓮川先生ってデザイナーさんのお話を描くのがお好きですよね。そういうお勉強をしていらしたのかしらん。
話の内容は★3つ、絵は★4.5で、合わせて★4つで。

*1:同人誌の場合はそれでもじゅうぶん成立するから

*2:というよりも、立派な大人が高校生のように恋愛に戸惑う様を楽しむという感じ。だからある意味「アダルト」ではない