『聞こえない声』/京山あつき
- 作者: 京山あつき
- 出版社/メーカー: 大洋図書
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: コミック
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表紙だけ見てると、攻の視線が意味ありゲなこと以外、あんまBLっぽくないと思うんだけど、漫画としての基礎体力の高さ、キャラクターの魅力、展開の自然さ、描線から透けて見える作者自身の野球のユニフォームへのこだわり・愛、評価したいポイントが盛りだくさんな一冊だった。ユニフォームの描き方が、門地かおり並みに巧い。ただし、こういう受「しか」描けないようでは、これからも確実に一般受けはしないだろう。受けを狙わず、むしろ一般人をお鬼畜に攻めるくらいの気概でこの路線を突き進んでほしいと思う。それでこそ鬼KYUN戦士。これ、カップリングを逆にして、後輩×先輩にしたい人いっぱいいるんだろうな〜と思いながら読んだ。私は先輩×後輩で正しいと思うけど。格好よくない攻って嫌なんだよ…。可愛くない受より嫌だ。
不細工受のポイントは、ルックス以外の言動その他で、いかに読者に受を可愛らしく感じさせるか、いとおしく感じさせるかだと思う。そうじゃないと攻がいくらハァハァしてても「ハァ?なんでこんな不細工に?」ってなモンで説得力が皆無になっちゃう。この漫画は受のヌードにドキドキさせた、漫画家さんの技量に感心させられた。少なくとも私はちょっぴりドキドキした。私服でも制服でもなく、ユニフォームを脱ぐというのがいいんです。
お気づきかもしれないが、私は「安定感」のある漫画に対して無駄に評価が高くなる傾向がある。不安定が魅力なのは、真の上級者のみだと思うから。力のある漫画家って新人のころから妙に安定感がある。個性が確立されていると言い換えてもいいかも知れないけれど。何にせよ、好みがわかれるであろう一冊。