『コイノイロ』/上田規代

コイノイロ (ミリオンコミックス 40 Hertz Series 19)

コイノイロ (ミリオンコミックス 40 Hertz Series 19)

山田ユギさんは他の漫画家の単行本帯に顔を出しすぎなのではないか!?*1(例:石田育絵神楽坂はん子山田まりお) しかもことごとく不完全燃焼な作品をつかまされている気がする(石田育絵さんはちょっと好きだけど)。本当に、「萌え作家の友人は萌え作家とは限らない」という、世にも恐ろしいBL界の大原則を再認識せずにおられないところでおじゃるが、まぁ仕方ない。萌え作家の友人がさらなる萌え作家であるという幸せなケースも、決してないわけではないのだから。でも、「大好きな萌え作家が萌えている作品に自分が萌えることができない」という現実は、なかなかに重くのしかかるものだ。自分のBL読みとしてのスキルに問題があるのかと思ってしまう。

本書はディアプラス*2リリカル路線のBL漫画です。エロスの烽火に爛れた心を癒すには適した一冊かもしれません。が、漫画としてもBLとしても、もう少しオリジナリティーを期待したい。西田東のようなキョーレツな個性をいきなり発揮しろとは言わないので、もーーー少し。もう少し上田先生ならではのオリジナリティーがほしい。絵かストーリーか。コマ割りでもカップリングでもキャラクターでもなんでもいい。じゃないと、読み流して「ちょっと萌えたね→ほっこりしたね→満足→古本屋→おしまい」。それで終わってしまうような気がするのだ。
って偉そうでごめんなさい。めがねの受の話が一番良かったです。めがねをしたままセックスするほうがエロいのか。なるほどね。表題作の攻のむっつりぶりもなかなか良かった。ただ、攻の重要な台詞「お前ってこんなに綺麗な顔だったっけ」に、あまり説得力がなかったのが残念。でもこの受は表情が「きゃわいい」感じがいいんだよねぇ、たぶん。こういう路線の漫画家は山田ユギあたりに影響を受けているのだろう。

*1:私の記憶に残っている範疇では、今市子西田東、西けいこ→高緒拾/藭室晶、はなかなか良かった。

*2:小説のほう。コミックのディアプラスは、最近何かが壊れてしまったようだ