『ひとさし指に囚われて』/遠野春日

うわー。読み始めてすぐに買ったことを後悔した。いくらなんでも、設定に無理がありすぎるでよ。攻の一族が経営するグループにだまされて受のおとーさんが事業で失敗。莫大な借金を背負わされて、それをたてにして受たんは攻の兄貴に手ひどい陵辱を受けてるんだけどさぁ。その兄貴の姦計で、受はカタブツの攻を1週間以内にカラダでおとさなきゃなんなくなるわけ! 受は仕事もできるし別に悪い男じゃないんだけど、攻をおとすために雨の中攻の自宅で勝手に待機したり、やってることが尋常じゃない。私は常識的な受が好きだ。
ボーイズラブにリアリティを求めること自体ナンセンスなのかも知れない。ただ、創作においてリアリティは、作品の説得力を強力にサポートするだいじな要素だと思う。設定がどうでも、恋愛の部分でもう少し生身の人間らしい心の動きが読みたかった。そこに説得力を期待していたのに、肩透かしを食らってしまった。ただ、巻末に収録されているおまけ漫画は心がほっこりする感じで素敵だった。あじみね先生、漫画はいまいち巧くなさそうだけど、挿絵としてはなかなかいいッスね。