『ひそやかな情熱』/遠野春日

ひそやかな情熱 (元気ノベルズ)

ひそやかな情熱 (元気ノベルズ)

どーーーしても円陣闇丸先生挿絵のヤクザものが読みたくて読みたくてどーーーしようもなくなり購入した物件。
今まで読んだ遠野先生の作品の中ではいちばん良かったような気がします。前いちど『悪い男』という作品を読んだとき、これまでおずおず系で通してきた受たんが最後になっていきなり攻のことを呼び捨てにしだして超なえたことがあったので、この情熱シリーズの受もいつ呼び捨てにしだすかと気が気じゃないですが、まァとにかく良かったです。ヤクザものですが、この攻、一応堅気なんですよね。なんか堅気とは思えない攻ぶりですけど。
初めヤクザの囲われ者だった受たんが手ひどい虐待を受けていて辛かったです。ヤクザ、ひどい。17歳から27歳までの10年って、たぶん人生のなかでいちばん輝いていて、いちばんいい時期だと思うんですよね。つーか単純に、時間的に長いし。10年……。受たん、よくがんばった。

遠野先生の文章って、5ページに1箇所くらい無性に校正したくなる箇所があるのですが、たぶん主語と述語の遠い文章を、私が好まないからなんだろうな……。遠野先生ごめんなさい。全体的にこの作品では、遠野先生の文体の硬さが、プラスに働いていたと思います。たまに緊張感のない表現があってビビるけど。たとえば「結構ショックだった。」とか「そのへんの〜」とか、「〜まくった。」とか、「東原のかっこよさ」とか、そういう軽めの表現が、たまに顔を出すんですよね〜。不思議だ。

この本、6刷までいってるにも関わらずまだ誤植が残っていたので、その点が少し気になる。たしか「適性」としなければならないところが、「適正」となっていたような気が……。気のせいだろうか。ムービックの本は誤植が多い気がする……。増刷にあたって、著者に校閲作業を頼まないのだろうか?